富士フイルムホールディングスは、2014年度の液晶材料事業で、スマートフォンやタブレット端末に使われる中小型液晶向けの売り上げ拡大を計画する。
 液晶用保護フィルム(TACフィルム)で、小型画面に使う薄手タイプの製品の生産を増やし、液晶の精細度を高める周辺部材の出荷増を図る。
 主力のTACフィルムの製造拠点は、神奈川工場足柄サイト(南足柄市)、富士フイルムオプトマテリアルズ(静岡県吉田町)、富士フイルム九州(熊本県菊陽町)の国内3カ所で、計17ライン。昨年までに2ラインを中小型液晶用TACフィルムの専用ラインに転用済み。これに加え、今年の年末にも神奈川工場の1ラインを中小型用の専用ラインに転換する。
にほんブログ村 ニュースブログ ITニュースへ
にほんブログ村


 これにより、中小型液晶用フィルムの製造は3ライン体制を敷く。専用ラインでは、中小型液晶用に開発した最薄手(厚さ25ミクロン)のTACフィルムを製造する。テレビ用液晶に使われる厚さ60ミクロンの製品よりも技術的な難易度が高く、面積あたりの価格下落を抑える。
 液晶テレビ用に出荷している視野角を改善する特殊フィルム(WVフィルム)も、今年4月から40ミクロンまで薄くした製品の量産へ乗り出す。テレビ用液晶では通常80ミクロンの厚さだが、中小型液晶用に独自に改良した。
 さらに、中小型液晶の高精細化のニーズに応じて、液晶の透過率を高める液体材料(層間絶縁膜)や、液晶の狭額縁化の工程で使われる転写フィルムの出荷拡大も図る。
 テレビ用液晶フィルムは面積ベースで拡大が見込めるが、単価下落が激しい。
このため14年度は中小型液晶へのシフトでカバーし、1500億円程度の売り上げ規模を維持する計画。中小型液晶向け材料の売上比率は数%だが、来期は10%超に高めることを目指していく。