米アップルは半導体大手のルネサスエレクトロニクスと、ルネサスの液晶用半導体子会社の買収交渉に入った。基幹部品の技術者を自社で抱え、高精細で消費電力の少ないスマートフォン(スマホ)の開発を加速する。アップルは外部の部品メーカーに開発を任せて成長してきたが、スマホのシェアが低下するなか中核技術の取り込みに動く。買収するのはルネサスエスピードライバ(RSP、東京都小平市)。ルネサスが55%、シャープが25%、製造委託先である台湾の半導体メーカー、パワーチップが20%を出資している。
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 ルネサスが持つ全株を取得する方向。取得額は500億円規模とみられ、関係会社を通じて買い取る案が有力だ。小平市と奈良県天理市の開発拠点にいる約240人の従業員も大半が移る見通しで、今夏までに手続きを終えるのを目指す。

 RSPが開発・販売する液晶半導体は、液晶パネルの画質や応答速度を左右するスマホの基幹部品。スマホの消費電力の1割を占めるといわれ、省電力性能も求められる。同社は中小型液晶向けでは世界で約3割のシェアを握る最大手だ。

 2014年3月期の売上高は約600億円で、60億円程度の黒字だったもよう。アップルは複数メーカーからの部品調達を基本にするが、「iPhone(アイフォーン)」の液晶半導体はRSP製を全面採用している。

 アップルはこれまで液晶パネル工場を運営するシャープに資金を提供する形で自社向け部品の開発や生産を支援してきた。スマホでもフルハイビジョン並みの映像が楽しめるようになり、画質がスマホの競争力を左右するようになっている。このため基幹部品の開発機能を自社で持ち、端末の設計と一体にする必要があるとみているようだ。

 アップルがルネサスと合意した後にアップルの要請があれば、液晶関連の技術で協力してきたシャープもRSPの株を売却するとみられる。

 アップルは13年の世界でのスマホの出荷シェアが15.2%と、首位の韓国サムスン電子の半分以下。中国・華為技術(ファーウェイ)など新興の低価格メーカーも追撃している。

 ルネサスは14年3月期に9期連続の連結最終赤字だったもよう。自動車や産業機械向けの半導体に資金や人員を集中する方針だ。

[参考] LCD&LEDドライバーの最新動向