液晶パネル大手、友達光電(AUO)の彭双浪(ポール・ポン)総経理は、中国のパネル生産能力が2015年に台湾を追い抜き、韓国に次ぐ世界2位に浮上するとの予測を示した。中国の第8.5世代生産ラインは来年8~9本に増える。さらに中国政府が輸入関税を5%から10%に引き上げる可能性があり、いずれも台湾パネル産業にとって脅威になると警告した。15日付経済日報が報じた。
彭総経理は先日、深センで中国電子情報博覧会・深セン光電ディスプレイウィークに参加し、中国メディア、第一財経日報の単独インタビューに応じた。
 彭総経理は、台湾のパネルメーカーは財務状況と市場の需要鈍化から過去3年生産能力を拡張しなかったが、AUOは品質と中国テレビメーカーとの輸出向け提携関係を強化してきたと強調した。
 同社は超解像4K2K、曲面、スリムベゼル(狭額縁)、広色域など技術革新を進めており、これらは単純に生産能力を拡張すれば可能なことではないと述べた。
にほんブログ村 ニュースブログ ITニュースへ
にほんブログ村


 また、8.5世代ラインが増えてもパネル供給量に限りがあるため、中国は今後も多くのパネルを輸入すると予測。AUOは中国テレビメーカーとの輸出向け提携強化で、関税引き上げによる打撃を緩和できると指摘した。中国がパネル関税を引き上げれば、テレビブランドの負担が増え消費者向け価格にコストが転嫁されるが、中国で生産されるテレビ年間1億3,000万台のうち輸出向けは9,000万台に上り、パネル関税の払い戻しが受けられる。
 群創光電(イノラックス)との合併観測について、彭総経理は「相互補完関係がないため現在まで具体的なアクションがない」と現状を説明した。
 事実、両社はともに5、6、7、8世代の生産ラインを擁し、応用製品も▽テレビ▽ノートパソコン▽液晶モニター▽タブレット型PC▽スマートフォン▽車載パネル──などで重複している。顧客は日本、韓国、中国メーカーで共通しており、合併効果は大きくなさそうだ。
 イノラックスは14日、コメント発表を控えた。
 呉明機・経済部工業局長は同日、パネル産業は大手2社に合併意欲がなければ短期的に減速するかもしれないが、世界景気が徐々に回復する中、長期的には悲観していないとの見方を示した。
 中国メーカーの増産が続き、製品の品質問題や不当な低価格競争を招く恐れがある一方、台湾メーカーは現在の生産能力で高品質、高付加価値製品の生産が可能だと強調。これまでの長い経験から良品率も安定しており、技術力・コスト管理で韓国にも負けないと指摘した。
 ただ、韓国が中国との自由貿易協定(FTA)で優遇関税を得れば、台湾は価格競争で不利になると懸念を示した。