華碩電脳(ASUS)は17日、先週発表した超低価格スマートフォン「ZenFone」で、台湾での販売価格が中国より高いとの批判が殺到したことを受けて、謝罪会見を行った。本業のパソコンでは市場によって販売価格に差を設けることは常識だが、台湾ブランドでありながら台湾を軽視したとして、同社の姿勢に失望の声が上がっている。18日付工商時報などが報じた。
ZenFoneシリーズは、ASUSがタブレット型PCとの一帯型ではない純粋なスマートフォン市場への再参入を期した機種として、台湾では先週8日に応募によって購入資格を得た1,000人を対象とした体験イベントを開催するとともにインターネットでの予約を開始した。5インチ機種「A500CG」は▽CPU(中央演算処理装置)、2ギガヘルツ(GHz)▽メモリー、2ギガバイト(GB)▽容量、16GB──で本体価格を4,990台湾元(約1万7,000円)に設定した。しかし、3日後の11日に行った中国での発表会では、同スペック機種が台湾価格を約500元下回っていたことから「中国を優遇している」と非難が殺到。予約取り消しは2割に上った。
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 会見で施崇棠董事長は、台湾の消費者に謝罪し、中台市場では同スペック、同価格とすると宣言。同席した沈振來執行長は、中台間では市場規模が違うことや輸送費などの点でコストが異なることを挙げ、各国・地域で価格戦略が違うと弁明した。今回は中国市場で人気を誇る新興スマートフォンメーカー、北京小米科技が間もなく「紅米ノート」を投入することを踏まえ、スペックを再度見直したところ「ZenFoneは紅米ノートに負けない自信はあるが、リスクはある」との結論に達し、中国発表会の前日に急きょスペックを引き上げることを決断したと説明した。
 これを受け、ASUSは台湾で発表した3モデルの販売価格をそれぞれ500元引き下げる。また、既に予約済みの場合は、価格引き下げやメモリーカードを進呈し、体験イベントでの購入者は本体価格を無料とし、返金措置を取る。
 今回の問題で、業界からは、ASUSはスマートフォン市場攻略の準備ができていないとの厳しい声も上がっている。沈執行長は、各国・地域で価格戦略が異なることを強調しており、事実ASUSの本業であるPC市場では、競争の激しい米国市場では最も低価格で販売することが業界の常態となっている。
 一方スマートフォン市場は状況が異なる。情報化が進み、各国・地域の価格を誰でも知り得るようになり、国境がなくなりつつある。しかし、ASUSはそれを理解していなかったため今回の失態につながった。特に台湾ブランドでありながら、台湾市場を軽視した格好になったことが反発を呼んだ。
 また、ZenFoneは黒、白、赤の3色展開だが、赤に人気が殺到し、早くも供給不足となっている。主要顧客である若者はスマートフォンに「斬新さ、格好良さ」を求めており、黒と白が最も売れるというPC市場のセオリーが当てはまらないことを理解していないことも明る
みになった。 なお、ZenFoneは予約販売分が18日から台湾市場で出荷される予定となっていたが、最新の出荷予測では全モデルで遅れが生じており、早くても
4月末になる予定だ。沈執行長は、5月のスマートフォン出荷台数は昨年通年実績に等しい40万~50万台に上るとの見通しを明かした。証券会社は今年通年では
1,000万台も狙えると予測した。

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