昭和シェル石油の太陽電池子会社ソーラーフロンティアが太陽光パネルの海外生産に乗り出す。米ニューヨーク州に最先端工場を建設する方向で同州政府と協議に入った。製造コストを現行製品より3割程度低く抑えられる量産技術を導入する。早ければ2017年の稼働をめざす。総事業費は研究開発費などを含めて最大約700億円になる可能性がある。
 オバマ米大統領は石炭火力発電への規制強化を打ち出し、1月の一般教書演説にも太陽光など再生可能エネルギーの導入推進を盛り込んだ。米国の太陽光発電の年間導入量(13年)は中国、日本に次ぎ世界第3位。中南米を含む米州の累積導入量は17年に約5380万キロワットと12年の6倍超に拡大するとの試算もある。
にほんブログ村 ニュースブログ ITニュースへ
にほんブログ村


 ソーラー社はシリコンを使わない薄型の太陽電池を得意とし、中国製品に対しても価格競争力を持つ。高品質で割安なパネルでメガソーラー(大規模太陽光発電所)向けを中心に攻勢をかける。
 ニューヨーク州政府は製造業の国内回帰の流れもあり誘致に積極的。ソーラー社は米国生産を視野に太陽光エネルギー開発センターを持つニューヨーク州立大と提携で合意した。薄型太陽電池の発電能力向上や製造技術について共同研究する。

 米国工場の生産能力は今後詰める。国内太陽電池メーカーではパナソニックが年産能力30万キロワットのマレーシア工場を昨年稼働させたが、これを上回る可能性がある。

 ソーラー社は太陽電池国内4位で、生産能力は約100万キロワット。15年春に完成予定の宮城県の新工場で工程短縮や原材料の投入量低減を進め、確立した最新の量産技術を米国に移転する。

 同社は再生エネの固定価格買い取り制度による日本国内の「特需」には限界があると判断した。米国のほか中東、アジアでの生産も検討する。