米部品メーカー、シナプティクスは11日、半導体大手ルネサスエレクトロニクスの中小型液晶用半導体子会社、ルネサスエスピードライバ(RSP、東京都小平市)を4億7500万ドル(約485億円)で買収することで合意したと発表した。
RSPは、米アップルのiPhone(アイフォーン)の液晶を駆動するために使う半導体の全量を生産。液晶メーカーのシャープやジャパンディスプレイ を通じて液晶用半導体を供給しており、シナプティクスはRSPの買収により、アップルのサプライチェーンに食い込む。
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関係者によると、昨年夏頃からRSPを売却する方針を固めていたルネサスは、今年3月頃にはシナプティクスに売却する方向で大筋合意していた。しかし、主力部品を依存するアップルもPSRの売却問題に関心を示したため、関係者間の調整が遅れ、最終決定が6月にずれ込んだ。
RSPの売上高は約663億円で、「アイフォーン用の液晶になくてはならない部品」(業界関係者に)として直近の業績は好調。
一方、シナプティクスは、ノートパソコン用のタッチパッド部品で約70%、スマホ用のタッチコントローラーで約42%のシェアを持つ。昨年11月には、指紋センサー会社のバリディティセンサーズ社を買収し、指紋センサー市場でも圧倒的なシェアを確保した。
シナプティクスは、RSPの主要取引先のアップルとは、過去にPC用のタッチパッドなどで取引があった。その後、アップルがアイフォーンを発売して以降は取引が途切れていたが、RSPの買収をきっかけに関係を深める考えだ。
東京で記者会見したシナプティクスのリック・バーグマン社長兼最高経営責任者(CEO)は「RSPが持っているアップルとの強い関係を継続したい」と述べ、RSPの液晶半導体以外にも、アップル向けに部品供給をねらっていく構えを示した。

RSP は2008年に設立され、ルネサスが55%、シャープが25%、台湾の力晶科技(パワーチップ)が20%を出資。シナプティクスは今年10―12月にRSPの全株を取得する。
ルネサスは、RSPの売却により特別利益を計上する見通しで、金額は確定次第、開示する。シャープも譲渡益を精査中で、2015年3月期の業績予想に影響が見込まれる場合、開示する方針。