今秋にも発売される米アップルの新型iPhone(仮称:iPhone6)について、搭載する液晶の生産が一時停止していたことがわかった。

薄型化をねらった設計のため、量産工程に無理が生じたためとみられている。新しい設計により生産は回復に向かっているが、部品メーカーに対するアップルの厳しい要求が改めて浮き彫りになった。

すでにiPhone6は、画面サイズが4.7型と5.5型の2機種の液晶の量産に入っている。液晶の生産は、ジャパンディスプレイ、韓国LGディスプレー、シャープの3社が担当。ジャパンディスプレイとLGディスプレーは4.7型と5.5型の両サイズ、シャープは4.7型サイズのみを生産している。

複数の関係筋によると、生産が一時停止したのは、液晶の後半工程。バックライトが液晶メーカーに届かず、取り付け作業が中断した。液晶メーカーは5月頃からパネルの量産に入っていたが、6―7月にかけて後半工程に入れずにいたという。

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その要因として指摘されているのが、アップルの厳しい設計。バックライトの明るさを高める輝度向上フィルム(BEF)はこれまで2枚を使用していたが、iPhone6では、一段の薄型化のため、このフイルムを1枚に減らす仕様で設計した。

だが、BEFを減らした設計では、実際のバックライトの量産に難航。このため、設計をはじめからやり直すことに至り、液晶全体の生産に遅れが生じたという。

すでに8月の段階では、新しい設計によるバックライトの量産が順調に立ち上がり、液晶の後半工程の製造は回復。一時停止した生産の遅れを取り戻すため、急ピッチで後半工程の作業を進めている。

アップルは9月9日にメディアイベントを開催し、新型iPhoneを発表する見込み。こうした液晶の後半工程の遅れが、iPhone6の発売時期や販売量に与える影響は不透明。

ただ、ジャパンディスプレイは、液晶の量産時期で先行したため、バックライトの問題が大きく響いたとみられている。一方でシャープは、もともと計画していた後半工程の作業開始が遅く、影響は少なかったようだ。

ジャパンディスプレイは、8月7日の第1四半期決算発表で、「大口顧客」の7―9月期の出荷に「時期ずれ」が発生する懸念があるとの見通しを示している。

アップルからのコメントは得られていない。またジャパンディスプレイ、LGディスプレー、シャープはコメントを控えている。