日東電工が成長戦略を模索している。スマートフォン(スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)に使う部材が好調で2015年3月期の連結営業利益(国際会計基準)は前期比38%増の1000億円と9年ぶりに過去最高の見通し。ただ液晶関連は需要の変動が大きく、安定成長にはリスクが伴う。
「円安のげたを履いているのが正直なところですね。営業利益1000億円はあくまで通過点にすぎない」。高崎秀雄社長は好業績を横目に、こう襟を正している。
最高益の背景は明白だ。国内生産比率が比較的に高い液晶パネル向け部材の輸出採算の改善と、スマホやタブレットの世界的な需要増だ。特に中小型の液晶パネル用光学フィルムは6割以上の世界シェアを持ち、米国や中国、韓国の端末メーカーに安定的に採用されていることが利益を押し上げている。
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「円安のげたを履いているのが正直なところですね。営業利益1000億円はあくまで通過点にすぎない」。高崎秀雄社長は好業績を横目に、こう襟を正している。
最高益の背景は明白だ。国内生産比率が比較的に高い液晶パネル向け部材の輸出採算の改善と、スマホやタブレットの世界的な需要増だ。特に中小型の液晶パネル用光学フィルムは6割以上の世界シェアを持ち、米国や中国、韓国の端末メーカーに安定的に採用されていることが利益を押し上げている。
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株価は3月25日に8280円と昨年来高値を更新した。ただ投資尺度をみると、業種内では「割安銘柄」だ。株価収益率(PER)は今期予想で約18倍。日本電産(約30倍)や村田製作所(約23倍)など他社に比べると日東電工の低い水準が際立っている。
日東電工は営業利益の8割を液晶用部材などに依存する。「世界的にタブレットやスマホの需要減速懸念がぬぐえない」(外資系証券)。とりわけ15年後半に は中国では需要が落ち込み、端末大手から納入価格の引き下げを求められる可能性がある。バークレイズ証券の山田幹也アナリストは「来期はタブレットを中心 に、5%以上の価格下落は想定しておく必要がある」と話す。さらに、円安で光学フィルムの材料費は上がっている。15年3月期は原油価格の下落でほぼ相殺 されたが、原油安による材料費低下の恩恵は来期以降、弱くなるとの見方がある。足元の需要は底堅いが、こうした懸念が割安に放置されている理由だろう。
日東電工が価格下落の影響を受けにくい戦略商品と位置づけるのが、薄型の新フィルムだ。従来はパネルの大きさにあわせて切断して顧客に供給していたフィル ムをロール状で供給。顧客の生産ライン上で切断することで、検査工程を効率化できる。この「ロール・トゥ・パネル」と呼ばれる方式は同社が他社に先駆けて 採用した。この方式に対応した新フィルムは13年以降、国内外の大手メーカーで採用が進む。「他のスマホやテレビに採用が進めば、長期的な収益貢献材料に なる」(山田アナリスト)。
自動車や医療など、新規分野も成長の余地が大きい。高崎社長は「自動車分野の売上高を18年度に(倍増の)2000億円程度にしたい」と意気込む。モーターなど駆動系で使う絶縁材のほか、部品を接合するときに使う工業用テープの需要が今後も増えるとみているためだ。
同社は豊富な資金がある。高崎社長は資金の使い道について「設備投資を優先する」と話す。企業戦略として掲げる「グローバルニッチトップ」が象徴するよう に、独創的な新製品をつくり続けてトップシェアを維持していく。ただ、シェアの高いフィルムで利益を安定して稼ぎ出す液晶用部材と異なり、自動車など新規 分野はM&A(合併・買収)を活用して時間や技術を買うスピード感も求められる。新製品を安定して増やすことももちろんだが、ロール・トゥ・パネル方式の ように「新たな仕掛けをつくること」(梅原俊志上席執行役員)も成長を左右する重要な材料になりそうだ。
日東電工は営業利益の8割を液晶用部材などに依存する。「世界的にタブレットやスマホの需要減速懸念がぬぐえない」(外資系証券)。とりわけ15年後半に は中国では需要が落ち込み、端末大手から納入価格の引き下げを求められる可能性がある。バークレイズ証券の山田幹也アナリストは「来期はタブレットを中心 に、5%以上の価格下落は想定しておく必要がある」と話す。さらに、円安で光学フィルムの材料費は上がっている。15年3月期は原油価格の下落でほぼ相殺 されたが、原油安による材料費低下の恩恵は来期以降、弱くなるとの見方がある。足元の需要は底堅いが、こうした懸念が割安に放置されている理由だろう。
日東電工が価格下落の影響を受けにくい戦略商品と位置づけるのが、薄型の新フィルムだ。従来はパネルの大きさにあわせて切断して顧客に供給していたフィル ムをロール状で供給。顧客の生産ライン上で切断することで、検査工程を効率化できる。この「ロール・トゥ・パネル」と呼ばれる方式は同社が他社に先駆けて 採用した。この方式に対応した新フィルムは13年以降、国内外の大手メーカーで採用が進む。「他のスマホやテレビに採用が進めば、長期的な収益貢献材料に なる」(山田アナリスト)。
自動車や医療など、新規分野も成長の余地が大きい。高崎社長は「自動車分野の売上高を18年度に(倍増の)2000億円程度にしたい」と意気込む。モーターなど駆動系で使う絶縁材のほか、部品を接合するときに使う工業用テープの需要が今後も増えるとみているためだ。
同社は豊富な資金がある。高崎社長は資金の使い道について「設備投資を優先する」と話す。企業戦略として掲げる「グローバルニッチトップ」が象徴するよう に、独創的な新製品をつくり続けてトップシェアを維持していく。ただ、シェアの高いフィルムで利益を安定して稼ぎ出す液晶用部材と異なり、自動車など新規 分野はM&A(合併・買収)を活用して時間や技術を買うスピード感も求められる。新製品を安定して増やすことももちろんだが、ロール・トゥ・パネル方式の ように「新たな仕掛けをつくること」(梅原俊志上席執行役員)も成長を左右する重要な材料になりそうだ。
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