鴻海科技集団(フォックスコン)の液晶パネルメーカー、群創光電(イノラックス)は5日、年内に高雄市の路竹工場で第6世代LTPS(低温ポリシリコン)パネルの生産ラインを稼働すると表明した。アップルのiPhone向けにパネルから機体の組み立てまで一貫サービスを提供する可能性が生まれた。大型テレビ向け商機を狙い、来年第3四半期に第8.6世代ラインも量産する予定だ。6日付工商時報などが報じた。
 段行建イノラックス董事長は新ライン2本について、同社が一部投資し、鴻海が設備を提供するが、具体的な金額は秘密保持契約で明かせないと述べた。ただし、今年の設備投資額350億台湾元(約1,370億円)に変更はないと説明した。来年も350億元以下の予想だ。
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 段董事長は、LTPSラインは月産能力2万3,000〜2万4,000枚で、ハイエンドのスマートフォン向けと説明した。8月に設備搬入、年末に稼働、来年第1四半期に認証が得られ次第、少量出荷を開始する予定だ。

  段董事長は、8.6世代ラインはパネルサイズの差別化が狙いと説明した。月産能力は4万枚。32、55インチのほか、23.6、50、58インチなど同社 の主力サイズを経済的に切り出すことができる。現在、中国の競合メーカーが相次いで8.5世代工場を稼働しているが、製品は一部55インチながら32イン チが中心だ。

 市場調査会社、ウィッツビュー・テクノロジーの邱宇彬・資深研究協理は、58インチはイノラックスの独自サイズで、量産で きれば、大手ブランドが全面採用する可能性があると予測した。5.5世代ラインと組み合わせれば、55、60インチも有利になると指摘した。ただ、最終的 にはコストとオファー価格が競争力の鍵と分析した。

 王志超イノラックス総経理は、同社の中小型パネルの第2四半期見通しについて、従来 型の携帯電話からスマホへの移行に伴い、出荷量は2桁のマイナスとなるが、出荷面積は拡大し、平均販売価格が10〜15%上昇すると予測した。大型パネル については、同社の出荷量は前期と同水準、出荷面積は拡大するが、平均販売価格は横ばいとの見方だ。

 王総経理は、テレビ市場はほぼ予想 通りで今年は3〜5%成長し、超高解像度4K2Kテレビ市場は通年4,000万〜4,500万台と期待が持てると述べた。同社の50インチ以上の大型テレ ビ向けのうち、4Kパネルの出荷比率は前期の30%以上から、第2四半期は40%を超えると予想した。4Kパネルのうち高色域製品の割合は前期の20%強 から、第2四半期は30%を上回る見通しだ。

 同社が5日発表した第1四半期の連結売上高は1,001億5,800万元で前期比 12.9%減、前年同期比11.83%増だった。粗利益率は前期より1.6ポイント上昇し17.7%で、2010年3月の3社合併以来で最高だった。営業 利益率は11.2%、純利益率は8.6%、純利益は86億5,100万元(前期比22.4%減、前年同期比5,554%増)で、これら3項目の数値は友達 光電(AUO)、LGディスプレイ(LGD)を上回り、液晶パネル業界で最高だった。