リボンディスプレイジャパン(京都市西京区)は、テレビ用液晶ディスプレーを駆動するドライバーICのファブレスメーカーだ。市場より10―40%低い価格を実現し、日本、台湾、中国の大手パネルメーカーから受注を得ている。2016年6月期は設立2年目にして売上高35億円を上回り、急成長する見通しだ。須山社長にビジネスモデルや課題などについて聞いた。

―中国、台湾、韓国勢をしのぐ製品コストはなぜ実現できるのですか。
 「半導体ウエハーに回路を埋め込む前工程は大手企業に、メッキ、フィルム貼り付け、組み立て、検査の後工程は中小企業に委託する。自社設備を持たず、製品数を絞っているため間接費が少ない。」
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―中小企業のモノづくりをビジネスモデルにうまく取り入れています。
 「後工程を担う日本の中小企業の価格対応力は世界一だ。製造の真面目さは圧倒的で、約束や計画を守る力には世界の誰も追いついてこない。実は市場流通価格も日本は一番安い。先日も韓国大手の購買担当者が来社し『なぜこんなに低価格なのか』と驚いていた」
―後工程企業の状況はいかがですか。
  「後工程企業には為替が1ドル=75円の円高水準を生き抜いた生産技術がある。当社が仕事を委託できるようになり、9月頃にも各社の工場はフル稼働になる だろう。今はむしろ、生産能力の確保が課題になっている。後工程は十数億円の投資で能力を拡大できるが、中小企業にとっては大きな投資だ。国内半導体産業 の力を維持するため、国などの支援が必要だ」
―今後の見通しは。
 「液晶駆動IC市場は全体で年間約7000億円。テレビ用だけで 1400億円以上あるため、当社はまだ伸びしろがある。高収益製品がいずれ薄利になっても、当社のようなファブレスがあれば、日本製半導体の供給は維持で きる。大手とファブレスを両輪とする考え方は、ほかの半導体製品にも展開できるはずだ」