panasonic mega solarパナソニックは北海道厚真町で7日稼働したメガソーラーに太陽光パネル「HIT」を納入した。同社は高性能だが単価の高いHITについて住宅中心に事業展開を進め、低コストなパネルが主流のメガソーラー向けは積極的に取り組んでいなかった。
だがメガソーラーを建設する立地の狭小化などで、発電能力の高い太陽光発電パネルの需要が生まれつつある。HITにも出番が回ってきた格好だ。  
今回、HITを納入したのは三井物産プラントシステムが運営する「北海道厚真ソーラー2」。6240枚のパネルを設置し、出力は1810キロワット。年187万キロワット時の発電量を見込んでいる。  
パナソニックはHITを住宅市場に特化して販売する戦略をとり、メガソーラーの受注実績は非公表としてきた。

市場からも「(HITについては)メガソーラーはやらない」と見られてきた。その背景にはHITの製品特性がある。同製品は単結晶シリコンに非結晶シリコ ンを複合する独自のセル構造なため高価。
20枚前後の住宅用と違い、メガソーラーは数千枚のパネルが必要で、投資額もケタ違いに大きい。引き合いがあって もパネル価格で折り合いがつかなった。  
しかし、状況は変わりつつある。必ずしもメガソーラーに適さない狭小地での建設が増えているためだ。厚真町のメガソーラーも包丁のような形の細長い土地 だ。制約のある土地だと、発電事業者は確実に売電収入を得ようと発電量を重視する。HITは太陽光から電力を生み出す変換効率が高い「高効率」が売り。同 じ土地に多結晶製パネルでメガソーラーを構築するより約30%多い発電量が期待できるという。  
事実、パナソニックによると今回の受注を含めてHITはメガソーラーに8件の受注実績があるが、13年度は2件、14年度は6件とメガソーラーへの納入 が増えている。
HITは14年度、住宅市場でシェア首位に立った。住宅の屋根と同様、“狭小地メガソーラー”であれば設置面積当たりの発電量が多いHIT の優位性を発揮できる。今後は出力2000キロワット以内のメガソーラーをターゲットとする。