pana shoumei p1 パナソニックは、昭和26年から続けていた蛍光灯照明器具の生産から平成30年度中に完全に撤退する。住宅用照明器具については27年度中に生産を終え、省エネ性で優る発光ダイオード(LED)向けにすべて切り替える方針だ。国内照明市場でシェアトップのパナソニックが撤退することで、半世紀以上にわたって家庭やオフィスを照らしてきた蛍光灯のあかりが、その役目を終えようとしている。(藤原直樹)

 パナソニックが照明事業に参入したのは、白熱電球の生産を始めた旧松下電器産業時代の昭和11年。25年に初代の蛍光灯を開発して、26年に生産を開始した。27年には、つり下げられたひもを引っ張ることで照明をつけたり消したりするプル式の蛍光灯照明器具を発売して、利便性が大きく向上した。

 その後も製品の進化は続き、発色をよくした「パルック蛍光灯」や電気の直流を交流に変換する「インバーター」を搭載した照明器具を発売するなど、常に蛍光灯の市場をリードしてきた。
現在、照明は省エネ性能に優れたLEDへの転換期を迎えている。



 LEDの照明器具を発売したのは17年前にさかのぼるが、蛍光灯照明より価格が高く、普及は遅れていた。それが、東日本大震災後の電力不足に伴 う電気料金の高騰を背景に、工場などでLED照明に交換する動きが企業などに広がっている。いまでは、パナソニックが国内向けに出荷する照明器具のうち LEDが約8割を占めるほどだ。

 パナソニックは、省エネだけでなく、色の種類や明るさの調整が容易なLED照明のメリットをアピールし て器具の販売を強化する方針で、店舗、オフィスのほか、住宅にも浸透していくとみている。販売量が増えれば、生産コストも抑えやすくなり、価格も下げられ る可能性がある。

 パナソニックは、国内だけでなく、中国や東南アジアなど海外でもLEDの販売を拡大させることで、照明事業の30年度の売上高を26年度比26%増の4千億円にすることを目指す。また蛍光灯の照明器具の生産からは撤退するが、蛍光灯そのものの販売は続ける予定だ。