アップルの新型スマートフォン、iPhone6s発表を受け、市場調査会社、ウィッツビュー・テクノロジーは来年インセル型、オンセル型を合わせた内蔵型タッチパネル採用がスマホ全体の47.8%に上昇し、薄膜タッチパネルの44.3%を上回るとの予測を示した。
内蔵型タッチパネルの中でも、台湾の液晶パネルメーカーが注力するオンセル型は、有力メーカーの採用がサムスン電子のスーパーAMOLED(アクティブマトリックス式有機EL)に限られるため、友達光電(AUO)、群創光電(イノラックス)は年内にインセル型製品を発売する計画だと指摘した。11日付工商時報などが報じた。

ウィッツビューの予測によると、スマホに搭載するタッチパネルの2016年市場シェアは、内蔵型タッチパネルが今年の40.6%から7.2ポイント上昇する一方、薄膜ITO(酸化インジウムスズ)フィルム使用タッチパネルは今年の49.3%から5ポイント低下する見通しだ。内蔵型と薄膜が約9割を占める一方、残りは▽ガラス1枚、6.2%(今年7.4%)▽ガラス2枚、0.9%(今年1.8%)▽メタルメッシュ、0.8%(今年0.9%)──とわずかだ。
 タッチパネル台湾最大手、宸鴻集団(TPKホールディング)の江朝瑞董事長は先日、現在のタッチパネル市場はさまざまな技術が入り乱れており、スマホブランドがそれぞれのニーズに合う技術を選択している状況だと指摘した。
 范博毓ウィッツビュー資深研究経理は、アップルがiPhone5シリーズからインセル型タッチパネルを採用したことでインセル型に市場の注目が集まったと指摘。ジャパンディスプレイ(JDI)がオンセル型の構造を合わせ持つハイブリッドインセル型タッチパネルを開発し、インセル型がスマホのハイエンド機種にほぼ搭載されるようになったと分析した。インセル型はミドルエンド機種にも広がりつつあり、1社が独占できる市場規模ではなくなり、パネルメーカーの参入が相次いでいる。LGディスプレイ(LGD)のアドバンスドインセルタッチ(AIT)に続き、AUO、イノラックス、京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)、天馬微電子が下半期に自社製品を発売する計画だ。
 范経理はさらに、年末にTDDI(タッチ&ディスプレイドライバ統合)ICチップが量産に入れば、TDDIチップを搭載したフルハイビジョン(FHD)画質のインセル型タッチパネルを採用したスマホ機種が発売され、来年はインセル型タッチパネルの採用率が大きく伸びると予測した。
 范経理は、内蔵型タッチパネルの技術競争が激化したことで、従来は圧倒的なコスト競争力があった薄膜タッチパネルの市場シェアが低下していると説明した。内蔵型タッチパネルの中でも、オンセル型はインセル型の勢力拡大で市場シェアが圧迫され、スマホ大手ブランドからの受注のためには低価格市場にも踏み出さざるを得ない。オンセル型タッチパネルはサムスンが自社ブランドのスマホに搭載する以外では、中国市場で採用が始まっている。