26日付経済日報によると、鴻海精密工業の子会社、富智康集団(FIHモバイル)と中国のインターネットサービス大手の騰訊控股(テンセント・ホールディングス)、高級車ディーラー大手の中国和諧汽車控股(チャイナ・ハーモニー・オート・ホールディング)の合弁による河南省鄭州市の電気自動車(EV)工場は2018年に量産を開始する見通しだ。鴻準精密工業(フォックスコン・テクノロジー)、群創光電(イノラックス)、乙盛精密工業(ESON)など鴻海科技集団(フォックスコン・グループ)傘下各社が協力し、中国商機を狙う。



鴻海は今年6月に中国のテンセント、和諧汽車と鄭州市に合弁会社、和諧富騰を設立し、EV市場に参入すると発表した。和諧富騰の当初の資本金は10億人民 元(約191億円)で、出資比率は和諧汽車40%、鴻海30%、テンセント30%。最近の市場観測によると、和諧富騰の工場は早ければ16~17年に完 成、18年に量産を開始し、ミドル~ハイエンド市場をターゲットに「EV界のアップル」を目指す。
 市場では、鴻海が電子製品を製造、テンセントがIoT(モノのインターネット)プラットホームを提供、和諧汽車の高級車の販路を利用することで、競争力が高まるとみられている。
  鴻海グループ各社は、▽鴻海、完成車の組み立て▽イノラックス、液晶パネル▽鴻準、部品▽ESON、機構部品▽訊芯科技控股、微小電気機械システム (MEMS)▽正達国際光電(Gテック・オプトエレクトロニクス)、3D(3次元)強化ガラス▽新普科技(シンプロ・テクノロジー、SMP)、バッテリー モジュール──と続々とEV分野に参入している。特に鴻準、イノラックス、ESONはテスラモーターズのサプライヤーでもあり、EV生産で重要な役割を果 たす見通しだ。
 鴻準の完全子会社、Qラン・ホールディングスは今月20日、和諧汽車の筆頭株主、イーグルシーカーから和諧の株式1,471万株を買い増し、2位株主の座を強固にした。
 また、和諧汽車は上半期に、13年に中国初めてEV・SUV(スポーツ用多目的車)「緑野e?X5」を発表した浙江緑野汽車を買収している。市場では、緑野のノウハウが鴻海グループのEV商機獲得に貢献するとみられている。
  中国メディアの報道によると、中国では今年1~8月、EV、ハイブリッド車(HV)の販売台数が前年同期比270%増に上った。今年のEV生産台数は13 万台を超え、米国を上回り世界最大になる見通しだ。中国政府は20年に新エネルギー車の生産100万台を目標に掲げており、業界関係者は、中国の第13次 5カ年(16~20年)計画に補助政策が盛り込まれるとみている。