液晶に使われる部材メーカーに目を向けると、厳しい環境でしたたかに稼ぐ、日本企業の姿が見えてくる。
図は、液晶ディスプレーに使われている、部材メーカーの部門利益率・増益率をまとめたものだ。タッチパネルを手掛ける日本写真印刷、偏光板の日東電工など、意外にも高収益を誇る企業の多いことがわかる。
これらに加え、偏光板の保護に使われるTACフィルムを製造する富士フイルムも、液晶分野で稼ぐ企業の一つだ。
高い収益性の背景にあるのは、各市場の寡占状態。テレビやパネルといった川下分野において、日本勢は、サムスングループとLGグループのテレビ2強を擁する韓国勢に加えて、中国、台湾勢との競争を強いられてきた。
一方で部材は、プレーヤーが集約されている。たとえば液晶層は、独メルクと、チッソ傘下のJNCで、約9割のシェアを占める。ガラス基板や偏光板についても、2〜3社の大手メーカーが市場を分け合っている状況だ。
なぜ液晶部材で寡占状態が築けているのか。ここには各社が液晶以外の“本業”を持つという特性がある。
たとえば大日本印刷は、社名のとおり、印刷事業が祖業だ。インクを精密に印刷する技術を生かして液晶分野に進出した。日本写真印刷も、印刷技術をタッチパネル分野に生かし、従来ガラスが使われていたタッチパネルをフィルムで置き換えてきた。
小型ベアリングが主力事業のミネベアは、一見、バックライトと関連性がないように思われる。Move to original source
だが、ベアリング製造で培った超精密加工技術を応用、他社にまねできない薄さの製品を量産した。
各社とも、数十年間培ってきた技術を横展開することで、他メーカーが追随不可能な技術優位性を生み出すことに成功しているのだ。
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