韓国LG電子グループが有機ELテレビ戦略を転換した。世界でLGだけが量産しているテレビ用パネルの外販を本格化。パナソニックや中国メーカーが対象だ。
価格競争が厳しい液晶テレビと差異化する独自商品と位置づけてきたが、販売は伸び悩んでいる。他社にも参入を促して「有機ELテレビ陣営」を形成し、市場の活性化やパネルの生産コスト引き下げにつなげたい考えだ。

LGのパネルを使ってパナソニックは10月、欧州で65型の有機ELテレビを発売した。2017年度をめどに日本にも投入する。高級機種の象徴の位置づけで価格は100万円以上の見通しだ。



 LGは中国テレビ大手の康佳集団(コンカ)、創維集団(スカイワース)などには、昨年に試験的に始めた供給をこのほど本格化。外販強化に向けパ ネル生産会社のLGディスプレーは1月、約7000億ウォン(約740億円)を投じた新設備を完成させ、供給能力を従来の4倍に高めた。フル稼働すると 55型向けで月10万台分以上を作れる。

有機ELは液晶に比べコントラスト(明暗比)など画質が良い。基板にガラスだけでなく樹脂も使え るため、様々な形状に加工しやすい。LGディスプレーで有機ELを担当する呂相徳(ヨ・サンドク)事業部長は「画質とデザインの両面で究極のパネル。まだ まだ進化の余地がある」と強調する。

 弱点は価格の高さだが、発光材料を基板に塗布する印刷方式のパネル生産が実現すれば、高価な設備が 必要な現在の蒸着方式に比べ製造コストを飛躍的に引き下げられる可能性がある。タブレット用など中型パネルでは18年にも印刷方式で量産を始める計画の企 業もあり、大型への応用も現実味を帯びつつある。

 LGは2013年に世界で初めて大型の有機ELテレビの市販を始めた。当初は55型で 約130万円。その後は40万円台の普及価格帯品も投入した。ただ、14年の世界の有機ELテレビ市場の規模は10万台と液晶テレビの約2億台に遠く及ば ない。サムスン電子も13年に独自のパネルを使い参入したが中断し、現在は販売していない。