経営再建中のシャープは、インドの大手素材メーカーに、液晶パネルの技術を提供する方針を固めた。生産ラインの立ち上げを指導することで、70億円超の報酬を見込む。国内の大手電機メーカーが、自社で囲い込んできた技術を海外に売り出すのは異例だ。業績が苦しいなか資産の売却を進めており、海外から評価の高い技術も売ることで、少しでも利益を確保しようとしている。
 インドの「スターライトテクノロジーズ」に、主にテレビ向けの液晶パネルの作り方を、人材も派遣して教える。スターライトは液晶事業のノウハウが少なく、シャープの技術を活用して、新規参入をめざす。



 シャープはかつて液晶技術を「門外不出」とし、囲い込む戦略だった。韓国や中国などのライバルに渡ると、高品質の製品を安く作られて、価格競争で負けてしまう恐れがあるためだ。

 ログイン前の続きだが、過大投資もあってここ数年は経営が予想以上に悪化。大阪市の本社の土地や建物の売却を決めるなど、資産の処分を迫られていた。

 売れる資産には限りがあるため、技術を提供してでも、利益を得ようとしている。韓国や中国に比べて液晶事業の蓄積が少ないインドの企業であれば、技術を渡しても、すぐには競合相手にならないとの判断もある。業績に早く反映させるため、交渉を今年度内にまとめたい考えだ。

 シャープは他にも、中国の液晶メーカーなどへの技術提供を、検討しているとみられる。