友達光電(AUO)、群創光電(イノラックス)など液晶パネルメーカーがLTPS(低温ポリシリコン)パネルへの投資を続行する中、今年の世界のLTPSパネル生産能力は前年比21.2%増、来年は14.1%増と2桁成長が続く見通しだ。一方、スマートフォン需要は伸び悩んでおり、来年にはLTPSパネルが供給過剰となって価格競争に陥り、撤退に追い込まれるメーカーが出る可能性も指摘されている。
LTPSパネルは、アップルのiPhoneへの搭載に多くのスマホメーカーが追随し、ハイエンド機種に広く採用されている。
 AUOは、同社はLTPSパネルの供給が追い付かない状態が続いていると指摘した。中国・江蘇省昆山市の第6世代LTPSパネル工場が来年下半期に量産に入る計画だ。
 

イノラックスは、ハイエンド、高解像度のスマホパネル需要が旺盛だと指摘した。同社は高雄市路竹区の第6世代LTPSパネル工場が設備搬入、試験生産を行っており、来年第1四半期に量産する計画だ。
  市場調査会社、ウィッツビュー・テクノロジーの予測によると、今年の世界全体のLTPSパネル生産能力は940万平方メートル、来年は1,070万平方 メートル、2017年には前年比31.1%増の1,400平方メートルと大幅成長が続く見通しだ。一方、市場調査会社、集邦科技(トレンドフォース)の予 測によると、今年の世界のスマホ市場はもはや2桁成長が見込めない。
 范博毓ウィッツビュー資深研究経理は、LTPSパネルは生産能力が過剰になり、来年は価格競争、業界地図の書き換えが起こり得ると指摘した。特に、後発メーカーは厳しい状況に追いやられるとみている。
 范経理は、携帯電話市場は量重視からスペック向上に流れが変わっており、今年の主流は5インチ以上、フルハイビジョン(FHD)化、ハイエンド機種へのインセル方式タッチパネル搭載だと述べた。
  范経理は、顧客を囲い込み、市場シェアを確保するため、フルHDパネルは今年上半期から価格競争に突入していると指摘。ウィッツビューの予測によると、フ ルHDパネル搭載スマホの割合は、今年18%から来年25%以上まで拡大する見通しだ。ただし、フルHDのLTPSパネル生産ライン稼働計画は来年下半期 に集中しているので、来年上半期は健全な需給バランスが保たれると説明した。