華碩電脳(ASUS)は、昨年初めて中国の比亜迪(BYD)にノートパソコン正規モデルを発注したものの、BYDが現時点で受注量の半分も納品できていないことを受けて、一部の発注を緯創資通(ウィストロン)、広達電脳(クアンタ・コンピュータ)、和碩聯合科技(ペガトロン)などの台湾受託メーカーに戻すことを決めたもようだ。
BYDは台湾メーカーより25%安い受託価格でASUSからの受注に成功したとされるが、組み立て技術やノウハウは依然ASUSを満足させられるレベルにはないようだ。電子時報が報じた。



ASUSはコスト削減のため、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)に委託する予定だった製品の生産をBYDに発注したと伝えられ、正規モデルの初 の中国メーカーへの委託例として注目を集めた。しかし、サプライチェーン関係者によると、BYDはASUSの求める生産量を供給できなかったという。
  業界からは、ノートPC部品は多くが中国メーカーに取って代わられたが、ノートPCの研究開発(R&D)、組み立てなどでは台湾メーカーが依然優位に立っ ており、中国メーカーが低価格で受注したとしても、ブランドの品質要求基準を満たし、順調に納品するのは困難との指摘が出た。
 サプライチェーン 関係者は、ノートPCの部品は雑多だが、台湾の組み立てメーカーは長年にわたって生産管理のノウハウ、物流技術、部品メーカーとの緊密な関係を築き上げて おり、これらがBYDや宝龍達集団(BLDグループ)など中国メーカーの追随を許さない強みになっていると説明した。
 ただし業界関係者は、ノー トPCブランド各社が相次いで中国メーカーに生産を委託する中、台湾受託生産メーカーは規模のメリットを生かしたコストメリットが既に消失しており、既存 の優位性は今後3~5年しか続かない可能性があると指摘した。ASUSのBYDへの発注は序章にすぎず、中国メーカーの脅威が増す中、台湾の関連サプライ ヤーは事業転換を加速し、より競争力のある製品を開発しなければ市場で生き残れないと警鐘を鳴らした。