innolux c12d1d644液晶パネル大手、群創光電(イノラックス)は今年、前年比43%増の350億台湾元(約1,250億円)の設備投資を行う。高雄・路竹工場で第2四半期に量産する第6世代LTPS(低温ポリシリコン)パネルラインや、下半期に稼働する8.6世代ラインなどに充てる。
世界的な不景気でパネル業界は厳しい局面を迎えているが、同社はテレビやモニター用パネルの競争力を高めて勝ち残りを目指す。3日付工商時報などが報じた。
イノラックスが2日発表した昨年第4四半期の連結売上高は前期比8.2%減、前年同期比29.1%減の814億6,000万元。純損失は67億2,000万元と8四半期ぶりの赤字に転落した。市場の供給過剰などが響き、液晶パネルの平均単価は1平方メートル当たり333米ドルと前期比14.6%下落し、過去8四半期の最低を記録。出荷面積は738万平方メートルで前期比4%拡大した。



同期の応用製品別の売上構成比は

▽テレビ、52%▽携帯電話・商用製品、25%
▽モバイルパソコン(タブレット端末含む)、13%
▽卓上モニ ター、10%──。

サイズ別では
▽40インチ以上、44%
▽30~40インチ、1%
▽20~30インチ、16%
▽10~20インチ、17%
▽10インチ以 下、22%──。

 昨年通年の連結売上高は前年比15.1%減の3,641億3,000万元、純利益は108億1,000万元で 50.1%減少したが、3年連続の黒字となった。パネル全体の出荷面積は2,873万平方メートルで6%縮小、中小型パネルの出荷枚数は2億5,200万 枚で21%減となった。

 イノラックスの王志超総経理は、昨年第3四半期から世界的な不景気の影響を受け、パネル業界は難題に直面した が、今年も状況は同じで慎重姿勢を崩していないと指摘。第1四半期は非需要期で「非常に厳しい」と述べた。同期の大型パネル出荷面積は前期比10%縮小 し、平均販売価格(ASP)は5~8%下落、中小型パネル出荷面積は15~20%縮小するが、ASPは横ばいと予想した。

 王総経理は、 中国パネルメーカーの生産拡大が今年も続いており、市場は現在やや供給過剰だと指摘。通年のパネル市場の需給見通しについては「テレビの画面サイズの拡大 ペース次第」と述べた。今年のテレビ出荷台数は横ばいか小幅成長となる見通しだが、画面サイズが1.5インチ拡大すれば需給が均衡に向かい、下半期にパネ ル景気が回復する可能性があるとの見方を示した。

 王総経理は、中国パネルメーカーは32インチ製品の生産が中心だが、同サイズの出荷が減少する中、40インチに生産能力を振り替えており、今後40インチへの切り替えがどのくらい進むかが今年のパネル需給を左右すると語った。

 ただ一方で、テレビの画面サイズの拡大ペースが緩やかであれば、今年は1年間ずっと厳しい状況が続くとの悲観的な見通しも示した。