重力波_AS20160212100年前にアインシュタインが存在を予言し、世界の研究者が観測を目指していた「重力波」について、米国の研究チームが11日、初めて観測したと発表した。

最終的に確認されれば理論が実証されたことになり、物理学の歴史的な成果となる。光や電波ではわからない宇宙の姿を探る新たな天文観測にも道が開ける。重力波は、時間や空間がわずかに伸び縮みする「時空のひずみ」がさざ波のように伝わる現象。物体が加速して動くときに起こる。

アインシュタインが1916年、一般相対性理論から予言していた。その観測は「最後の宿題」とされ、物理学の長年の悲願だった。

 
重力波はあらゆる運動で生じるとされるが、極めて微弱で通常は観測できない。
このため、星の合体などで生じた大きな重力波をとらえることになる。
研究チー ムは米国2カ所にある装置「LIGO(ライゴ)」の性能を大幅に高め、昨年9月から今年1月上旬まで観測、分析作業を進めていた。

 ログイン前の続き発表によると、昨年9月14日、地球から13億光年離れた二つのブラックホールが合体したときに出たとみられる重力波を十分な精度で検出できたとしている。物理学誌「フィジカル・レビュー・レターズ」に論文が掲載された。

 「我々は重力波を検出しました」。ワシントンで開かれた記者会見で、研究リーダーの一人が宣言すると会場から大きな拍手がわいた。今後、別の現象や誤検出の可能性も含め、専門家の検証を受けることになる。

 研究チームがとらえたのは、長さ4キロの検出器に対し、水素の原子核の1万分の1程度と極めて小さいひずみだ。重力波の観測装置は「重力波望遠鏡」とも呼ばれる。重力波をとらえることで、二つの星が互いに回る連星の動きや超新星爆発、宇宙の始まりなど様々な天体現象を新たな観点で探れるようになる。

 重力波をめぐっては、間接的な方法で存在を証明した米物理学者2人が93年にノーベル物理学賞を受けている。直接観測できれば理論が完全に裏付けられ、宇宙研究に新たな道を開くことになるため、専門家の間では「観測すればノーベル賞確実」と言われていた。

 重力波の観測は欧州や日本も取り組んでいる。神岡鉱山(岐阜県)の地下にある東京大宇宙線研究所などの観測施設「KAGRA(かぐら)」は昨秋ほぼ完成、17年度から本格観測を始める。

 重力に詳しい大栗博司・米カリフォルニア工科大理論物理学研究所長は「高い確度の分析結果で、重力波がきちんと観測されたと考えられる。宇宙を探究する新しい窓が開けたことは素晴らしい。今後も検証が続き、さらに精度が上がっていくだろう」とのコメントを寄せた。

 [link] Gravity Waves Detected, Verifying Part of Albert Einstein’s Theory of General Relativity