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いま、ディスプレー業界のもっぱらの話題と言えば、有機EL。  
米アップルがiPhoneに採用する見通しが明らかになってから、関連市場はバブルの様相を呈している。  韓国サムスン電子やLGディスプレーは新工場の立ち上げや増産投資を加速、日本でも、ジャパンディスプレイ(JDL)が「今後最も力を入れていく事業」と位置付けているほか、話題の鴻海(ホンハイ)精密工業もシャープの技術を活かし有機ELパネル市場に参入する計画だ。政府の資金援助で液晶パネル工場を立てまくっていた中国メーカーも、建設中の工場設備の一部を有機EL用に変えることを検討していると言う。
住友化学や出光興産などの素材メーカーも、関連する部材の増産体制を整えている。猫も杓子も、有機ELだ。


1990年頃から「液晶の次」と期待されてきた有機EL。しかし、その歴史は参入と撤退の繰り返しだった。1990年代後半には出光興産やパイオニアなどの日本メーカーが有機ELのディスプレーを試作。デジタルカメラや携帯電話にも採用されたほか、ソニーや東芝など大手電機メーカーもタブレットや業務用モニターに有機ELを採用した。その度に「有機ELの時代がやってきた」とバブルに沸いたが、結局、良品率の悪さやコスト面、需要低迷などに頭を抱え、すぐに開発凍結、撤退する結末に終わった。
「皆、恐る恐る投資をしている状況です」  パネル関連の製造装置を手掛けるメーカー幹部はこう明かす。  最大の理由は、有機ELを採用したスマホの需要が未知数なことだ。  
有機ELの特徴としてしばしば、発色の良さやコントラストの高さがあげられる。確かにLG電子が発売している大型の有機ELテレビを見ると、その特徴はよく分かる。しかし、手に収まるサイズのスマホの画面で、こうした発色の良さやコントラストの高さを求める消費者がどれだけいるかは分からない。
「液晶=古い」「有機EL=新しい」と言うイメージが定着してしまったことで、「液晶関連の投資だとお金を借りられないが、有機ELだと借りられるし市場の反応も良い」(同)といった事情もあるようだ。  
バブルに沸く一方で、結局のところ、「いつもの瞬間風速的なものになるのでは」との不安は拭い去れていない。
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