5月31日。パナソニックはテレビ用液晶パネルの生産を9月末メドに停止させると発表した。同事業の年間売上高は約800億円。パナソニック全体に占める割合はわずか1%程度に過ぎないが、日本の液晶業界の衰退を改めて感じさせるニュースに、注目が集まった。
今回停止となるパナソニック・姫路工場のテレビ用液晶の生産ラインは、液晶工場としては日本で2番目に大きい。日本最大なのは、シャープと鴻海精密工業のテリー・ゴウ氏が共同出資する、堺ディスプレイプロダクトの液晶ラインだ。


当初パナソニックは液晶事業そのものの売却も検討していたものとみられるが、こうした背景もあり、「相当ディスカウントしても買い手が付かなかったのではないか」(液晶メーカー社員)との見方もある。
買い手が付かず、事業を終息させるしかないパナソニック。もっとも、事業売却こそ難しいものの、今回停止する生産ラインの減価償却は完了しているため、減損損失は見込んでいない。今期は車載事業や住宅事業への先行投資がかさみ減益予想だが、来期以降の成長に備え、不採算事業を今期中に整理したい思惑がみえる。
Move to full article