日東電工は2018年度にも中国広東省で液晶パネル用のフィルム部材「偏光板」の生産を始める。投資額は約130億円で、海外で一貫生産できる体制にする。同社は偏光板の世界大手で、韓国サムスン電子など有力顧客を抱える。中国メーカーなどが現地で生産を急拡大しており、素早く注文に応じる体制を整えて電子部品事業の収益力を高める。

 偏光板は液晶パネル内に組み込んで光を制御し鮮やかな映像を映す部材だ。原材料を伸ばしてフィルム状にし積み重ねる「前工程」では最先端の生産技術が必要。尾道事業所(広島県尾道市)と亀山事業所(三重県亀山市)の国内2工場で担っていた。



 偏光板を画面サイズに応じて切断する「後工程」の海外拠点は7カ所あるが、中国メーカーに対応するため現地で一貫生産する。

 新拠点は広東省深圳の後工程の工場敷地内に設ける。従来の偏光板より大幅に薄くしても縮みにくい、独自製品に特化する。パネル全体の薄型化につながり映像のムラも減らせる。韓国メーカーが有機ELに巨額の投資を決めるなかでも需要は底堅いとみている。

 偏光板市場では台湾や韓国の新興企業が参入し、価格競争も激しい。日東電工は機能性で優れるが大口顧客の韓国パネル大手も中国で増産を決めており、採算性の高い超薄型の偏光板を現地生産する必要があった。