4日付蘋果日報によると、鴻海精密工業の傘下に入ったシャープは、液晶大型テレビに聯発科技(メディアテック)傘下の晨星半導体(Mスター・セミコンダクター)の半導体チップを搭載し、世界市場に再挑戦するようだ。携帯電話用チップが売上高の6割を占めるメディアテックは、過去数年で傘下に収めたMスターをはじめとする子会社の総合力で、スマートフォン、テレビ、IoV(車のインターネット)など多様な需要に応えていく。
メディアテックは12年にMスターを買収したのに続き、15年にMスターを通じて▽イメージセンサーの曜鵬科技(アルファ・イメージング・テクノロジー)▽米インテグレーテッド・シリコン・ソリューション(ISSI)傘下の特殊用途メモリーメーカーの常憶科技(チンギス・テクノロジー)▽ドライバICの奕力科技(イリテック)──を買収し、アナログIC最大手の立錡科技(リッチテック・テクノロジー)も傘下に収めた。今年上半期にはカーナビゲーション用デジタル地図で世界3位、中国最大手の北京四維図新科技(四維図新)と戦略提携を締結し、IoV商機を狙っている。



 今や、▽携帯電話のシステムオンチップ(SoC)、メディアテック▽テレビ用チップと液晶タイミング・コントローラー(TCON)、Mスターとリッチテック▽テレビ用ドライバIC、Mスターとイリテック──と、顧客の需要に応じてトータルソリューションを提供できる。
 メディアテック広報は、Mスターの利益は安定しており、子会社は各社に経営、管理を任せているが、同一顧客に対する業務統合で、グループのリソース力を発揮すると説明した。
 メディアテックの上半期純利益は110億6,300万台湾元(約360億円)だった。Mスターは50億3,500万元で、メディアテックに45億7,100万元をもたらした。Mスターはこれまでもシャープから受注していたが、鴻海の買収後のシャープとの提携は意義が増しそうだ。
 メディアテックの主な顧客は、▽サムスン電子▽華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)▽中興通訊(ZTE)▽聯想集団(レノボ)▽北京小米科技(小米、シャオミ)──などアップル以外の大手ブランド。今年の携帯電話用チップの出荷は8億セットで世界市場でシェア4割を占める見通しだ。今年の売上高目標は前年比25%増に上方修正し、2,600億元突破を目指す。粗利益率の目標は35~38%。