米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は11日、広東省深セン市を訪れ、中国2カ所目の研究開発(R&D)センターを設立すると表明した。クックCEOの中国高官訪問などの行程は、郭台銘(テリー・ゴウ)董事長が同行している。業界では、アップルはスマートフォン、iPhoneの中国での販売不振を挽回するため、現地で研究開発し、販売拠点を増やすほか、鴻海との提携関係を強化するとみられている。中国メディアの報道を基に13日付経済日報などが報じた。
クックCEOは、深?はアップルにとって、非常に重要な製造拠点の一つで、現地の従業員は10万人に上ると語った。アップルは深センでR&Dセンターを設立すると同時に、現地のソフトウエア開発メーカーを支援し、販売拠点や消費者を増やしたいと述べた。



 クックCEOは投資額などの詳細には触れなかった。中国メディアは、深?R&Dセンターは来年の設立で、北京R&Dセンターと同様、現地の提携パートナーや高等教育機関との関係を強化すると報じた。

 中国メディアの報道によると、クックCEOは11日夜に深センに到着後、馬興瑞・深?市党書記、許勤市長らと面会し、郭董事長も同席した。

 12日は、郭董事長が同行し、国家発展改革委員会(発改委)の

徐紹史主任を訪問したほか、李克強首相が提唱した「大衆創業、万衆創新」(大衆による創業、万人によるイノベーション)の2016年全国大衆創業万衆創新活動周(双創周)に出席。開会前に、李首相(当時は国務院副総理)と12年3月以来の再会を果たした。

 フォーラムではクックCEOが司会を務め、郭董事長、阿里巴巴集団(アリババグループ)の馬雲(ジャック・マー)会長、騰訊控股(テンセント)の馬化騰会長などハイテク大手の重鎮が一堂に会した。

 一方、郭董事長は、8K4Kテレビのエコシステム(ビジネスの生態系)実験室の設立など、深セン市政府と複数の提携覚書(MOU)を交わした。郭董事長は中国メディアとのインタビューで、深?で新たな産業革命を起こし、半導体や液晶パネル、ビデオカメラなどの高度化を図ると述べた。20年には製品を開発するほか、ハードウエアの産業育成センターを設ける目標だと話した。ベンチャーのアイデアは鴻海の製造力と合わせることで、急成長が可能だと語った。

鴻海傘下の液晶パネル大手、群創光電(イノラックス)は第2四半期に8Kパネルを量産し、顧客3社に出荷した。

 業界では、8Kパネル技術に続き、来年は半導体、その後は撮影や放送関係の技術が規格を満たし、20年開催の東京五輪の8K放送で、8Kテレビ市場が盛り上がると予想されている。