液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)は18日、石川県白山市で建設していた新工場の完成式典を開いた。既に今年5月に製造棟が完成していたが、スマートフォン(スマホ)向けの事業環境悪化で現在も本格稼働には至っていない。石川県の谷本正憲知事は「一日も早くフル稼働できる体制を整えてほしい」と訴えた。

 JDIの石川県内の生産拠点は、石川工場(川北町)、能美工場(能美市)に次いで3カ所目となる。白山工場の敷地面積は約14万3千平方メートル、投資額は1700億円に達する。工場の従業員は約250人と、雇用創出効果も期待されている。

 同日の式典には谷本知事のほか白山市の山田憲昭市長、JDIの筆頭株主である産業革新機構の勝又幹英社長ら100人超が出席。あいさつに立ったJDIの本間充会長は稼働時期について「需要をみて判断する」と述べるにとどめた。谷本知事は「雇用を減らすことはないと本間会長から聞いており、今後もJDIが地方創生に大きく貢献してもらえると考えている」と語った。

 JDIは当初、米アップルの「iPhone」向け液晶パネルを今年5月から本格生産する計画だった。だがiPhone販売が不振に陥り、JDIの業績も悪化。革新機構に金融支援を要請する事態になり、工場の稼働が遅れていた。

 新工場は2010年に閉鎖したキリンビール北陸工場の跡地。県や白山市は交通インフラの充実や電力コストの安さを訴え工場誘致を進めていた。異例の突貫工事で建設し、製造棟は15年5月の着工から1年という短期間で完成にこぎつけた経緯がある。