イノラックスは大型テレビ用とスマートフォン(スマホ)用液晶パネルの供給不足は来年に入っても続くとの見通しを示した。「スマホ用液晶パネルの平均販売価格は10~12月期も上昇が続く見込みで、我々は17年の価格動向についても楽観的だ」と同社モバイル製品部門の総責任者ジェフリー・ヤン氏は投資家に対して述べた。
アナリストらは16年下半期について、最先端技術の有機ELパネルが中国で品薄になり、中国携帯電話メーカーの間でイノラックスと競合企業の友達光電(AUO)が主力製品とする液晶パネルの需要が増しているとみている。
韓国サムスン電子が年内に液晶パネル工場を閉鎖し、米アップルが来年発売する新型iPhone(アイフォーン)向けの有機ELパネル生産に的を絞る方針を固めたと報じられたことから、液晶パネルの需給逼迫はさらに進むとの見方も広がっている。
イノラックスによると、大型テレビ用液晶パネルも需要増大の裏で供給が不足している。同社の16年7~9月期決算は純利益が前年同期比12%減の30億5000万台湾ドル(約101億円)、売上高は同16%減の744億8000万台湾ドルだった。
イノラックス、AUOの両社とも15年10~12月期以降、中国での供給過剰を受けて3四半期連続の赤字に陥っていた。両社とも主に液晶パネルを生産し、費用の問題から有機ELパネル部門への大規模な進出には消極的だ。
AUOも供給不足に恩恵を受けている。AUOの16年7~9月期決算は純利益が前年同期比41.4%増の48億9000万台湾ドルとなる一方、売上高は同3.6%減の860億1000万台湾ドルだった。
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