CI0003 シャープの親会社の鴻海(ホンハイ)精密工業(台湾)が30日、世界最大級の液晶パネル工場を中国の広州市に建設すると発表した。投資額は610億人民元(約1兆円)の予定で、巨費を投じて液晶事業で勝負をかける。

 鴻海の子会社で、シャープと共同運営する液晶パネル製造会社「堺ディスプレイプロダクト」(SDP、堺市)を通じて実施する。

 鴻海の郭台銘(かくたいめい)会長が同日、広州市で発表した。テレビ用の大型液晶パネルなどをつくり、2019年中にも量産を始める。新工場では「第10・5世代」とよばれるガラス基板を使い、大きなパネルを扱う。シャープの技術も活用して、高性能な製品をめざす。



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シャープにとっても液晶事業は経営の主軸だ。鴻海が液晶パネルの製造に力を入れることになれば、「すみ分け」が求められる。

 スマートフォン用の中小型パネルを生産する亀山工場(三重県亀山市)など、用途が違うところでは役割分担はしやすい。一方で、もともとはシャープのものだったSDPの堺工場は、テレビ用の液晶パネルをつくっている。シャープから移った従業員が多く働いていて、中国の新工場と競合する可能性があるため対応を検討していく。

 鴻海は電子機器の製造請負で世界最大手だ。ディスプレーなどもグループ内で本格的につくろうとしている。今回とは別に、シャープを通じてスマホ用の有機ELディスプレーの工場を、中国につくることも想定している。