色基準1保存 RGB色空間に関する規格を表示ディスプレイの世界から見ていくと、歴史的にアナログテレビやCRTモニターの時代から使われていたNTSC(BT.601)があります。ただアナログテレビがNTSC要求を100%満たしていたわけではなく、NTSC比72%色域等の表現が使われてきました。

その後CRTモニターから液晶モニターに製品が移行していくのに伴いRGB色空間に関する規格も「sRGB (standard RGB)」が出てきてその後「AdobeRGB」も提案され今はこの二つに大別されています。
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sRGBは国際電気標準会議 (IEC) が定めた国際標準規格であり、一般的なモニタ、プリンタ、デジタルカメラなどではこの規格に準拠しており、互いの機器をsRGBに則った色調整を行なう事で、入力時と出力時の色の差異を少なくする事が可能になります。

AdobeRGBはAdobe Systemsによって提唱された色空間の定義で、sRGBよりも遥かに広い(特に緑が広い)RGB色再現領域を持ち、印刷や色校正などでの適合性が高く、DTPなどの分野では標準的に使用されています。

これらに加え、業界毎・アプリケーション毎の個別の規格も増えてきています。
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液晶テレビ用途としては解像度の進化に富まない色域の要求も見直されHDTVとしてBT.709、さらに次世代テレビとしてBT.2020という規格が提案されています。
これらはITU(International Telecommunication Union)という団体が定めてきました。
また映画業界からはDigital Cinama Initiativeという業界団体からDCI-P3という規格が提示されています。

各RGB色空間規格の一覧を図にまとめました。BT-709とsRGBは全く同じ規格であることがわかると思います。アプリケーションが異なってもこのような一致や類似がどうしても出てきてしまうのでしょうが、その原因としては小野の要求を吸い上げて整理する国際的なリーダーシップがおきにくいのかも知れません。

業界毎に新提案が出てきた背景には液晶ディスプレイの技術進化と、個々の技術要素の組み合わせによる個別対応力の向上があると思います。
液晶ディスプレイは従来は光源として冷陰極管(CCFL)のみでした。またカラーフィルタの色の選択も限定されていました。
しかしRGB三原色や広色域対応の発光ダイオードをディスプレイのLEDバックライトに使うこと、さらにカラーフィルターの色の調合も進んできており、より広い色域をカバーすることが可能となってきています。
但し現時点では最高広範囲のBT-2020を満たすディスプレイはまだ実現していません。
有機ELやQDEFといった新技術も競争に加わり、実現に向けて開発競争が水面下で進められています。