2017年はディスプレー産業の転換点となる。スマートフォン(スマホ)の技術革新をけん引してきた米アップルがiPhoneに有機ELディスプレーを採用。出荷台数を伸ばす中国勢も追従する。スマホ用有機ELディスプレーを独占供給する韓国サムスン電子は16年から約1兆円を投じて生産能力を拡充する。製造装置メーカーも増産に動いている。

 有機ELディスプレーはスマホ用はサムスン、テレビ用はLGディスプレーと韓国勢が先行。さらにシャープを買収した台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業グループや中国勢も相次ぎ有機ELディスプレーの巨額投資を表明している。

 ディスプレー工場の新設計画が相次ぐことでキヤノンやニコン、東京エレクトロンなど日系製造装置メーカーの工場はフル稼働状態が続く。

 ただ有機ELディスプレーの量産の技術的な難易度は高い。5年以上の量産実績のあるサムスンですら良品率(歩留まり)は改善途上で、後発組の安定量産には時間がかかる見通し。さらに液晶ディスプレーの技術革新も進んでおり、ブラウン管テレビが液晶に置き換わったように有機ELが主流になるかは見通しにくい。