経営が混迷の度を深めていることを、周囲にまざまざと見せつけるかのような人事だった。 スマートフォンなどに使われる中小型液晶の最大手、ジャパンディスプレイ(JDI)は、今年6月の株主総会を経て、本間充会長兼最高経営責任者(CEO)が退任する人事を発表した。
三洋電機出身の本間氏は、2015年6月にJDI会長に就任。稼働が低迷する生産拠点を相次いで閉鎖するなど、最終赤字に苦しむ同社の構造改革に取り組んだものの、昨夏には企業にとって致命傷になりかねない資金繰り不安を招いてしまった。
不思議なことに、今春にも買収し連結子会社化する予定の企業(有機ELディスプレイを手掛けるJOLED)の社長を、親会社となるJDIのCEOとして迎えるというのだ。 子会社化の最終契約を結んですらいない段階で、人事だけを先走って発表し、さらに“子”に“義理の親”の世話をさせようとする、その違和感はかなり強い。
JDIが資金繰り不安に陥り、金融支援が「企業救済」と捉えられないよう、急きょJOLEDの買収を抱き合わせて「成長資金の供給」として何とか仕立て上げた経緯もある。 JOLEDは、印刷技術による有機ELディスプレイの開発を進めているが、量産化への道のりはまだ遠く、革新機構としても開発の遅れを踏まえて、見切りをつけようとした時期もあったようだが、JDIの救済の手段として、うまく利用したともいえる。Move to original source
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