インキ世界最大手、DICの2017年1~3月期の連結営業利益は前年同期比5%増の130億円程度だったようだ。化粧品や液晶の部材に使う顔料の販売が好調だった。顔料を含むファインケミカル事業は利益率が高く、増益に貢献した。計画に比べ、円相場が円安基調で推移したことも追い風だった。

  売上高は1900億円程度と微増だったもよう。ファインケミカル事業では液晶パネル部材のカラーフィルターに使う顔料が好調。液晶関連では新製品効果でアジア向けに販売が伸びている。化粧品や自動車向けの顔料も、鮮やかな赤を発色する高機能品が人気だ。
 液晶向けの顔料では高いシェアを持ち、16年12月期実績の同事業の売上高営業利益率は11.3%と連結全体(7.2%)を上回る。17年1~3月期も10%台の営業利益率を確保したようだ。



 
一方、従来の主力、印刷インキ事業は弱含み。出版物関連向けを中心に需要減少が続いている。食品や消費財用包装材向けインキは伸びるが補いきれない。

 同社の海外売上高比率は約6割に達する。期初には1ドル=105円を想定していた為替レートが、1~3月期の期中平均は1ドル=113円台半ばになったもよう。前年同期に比べると2%程度円高だが、想定比で円安に振れたことで利益が押し上げられた。

 17年12月期通期は、連結営業利益で前期比7%増の580億円と2年連続の最高益を見込む。

 焦点が足元で上昇している原料のナフサ(粗製ガソリン)価格だ。先進国ではナフサ価格上昇が収益に影響するまで3~6カ月かかるが、一部のアジア市場では既に価格上昇による利益圧迫が見られるという。ナフサ価格上昇は樹脂などのポリマ事業にも影響する。

 1~3月期の営業利益の進捗率は約22%だが、16年1~3月期も23%弱だった。年後半に対予算で進捗する傾向がある。今後はナフサ価格の上昇を価格に転嫁できるかが、焦点になりそうだ。