台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下で経営再建中のシャープは12日、役員人事を発表した。取締役9人のうち、戴正呉社長を含む鴻海関係者がこれまでの4人から5人に増え、シャープの生え抜きは野村勝明副社長だけになった。鴻海の支配色がより鮮明になった。6月20日の株主総会後の取締役会で正式に決まる。

 これまで鴻海関係者は戴社長、液晶担当の高山俊明代表取締役らと、鴻海の顧問を務めた元東京大教授の中川威雄氏の計4人だった。



 今回の人事で、通信事業を統括する長谷川祥典専務ら生え抜き2人と中川氏、社外取締役2人の計5人が退任する。新任5人のうち鴻海関係者は2人。王建二氏は今年1月から、鴻海傘下になった液晶パネルメーカー、堺ディスプレイプロダクトの取締役を務める。また、社外取締役に就任する呂旭東氏は鴻海の経理責任者だ。生え抜きでは取締役への昇格者はいない。

 また、新任の1人は元NHK理事で技術専門家の西山博一氏で、次世代の8Kテレビ開発の先導役を担う。シャープはNHKから大型テレビの開発を任され、鴻海も中国で8K対応の液晶パネル工場を着工するなど成長性に期待を寄せている。