シャープと米グーグルが仮想現実(VR)の世界を楽しめる端末向けの新たな液晶ディスプレーを共同開発していることが29日わかった。ゲームなどで使うVRには、スマートフォン(スマホ)向けの液晶などよりも、より動きが速く解像度が高い映像への対応が求められる。
今後、映像表示の応答速度などを高める技術の開発を両社で進めていく考えだ。  
米カリフォルニア州で26日まで開かれていたディスプレーの学会「SID」で、グーグルのVR開発の担当者が明らかにした。両社は高解像度の映像でも残像が残りにくく、なめらかに表示できる液晶ディスプレーの実用化に向け、バックライトなどの新技術を開発していくもよう。開発できれば今後、グーグルが実用化するVR端末などに採用する見通しだ。



 VR端末には有機ELディスプレーを使う選択肢もあるが、生産者は韓国のサムスン電子などに限られる。スマホ向けの需要拡大などもあって需給が見通せない状況だ。グーグルは供給量に余裕がある液晶でもVR向けの技術開発を進めることで、部材の安定調達につなげる狙いとみられる。

 グーグルはスマホに差し込むタイプのゴーグル型VR端末を2016年11月に発売。年末までにスマホやパソコン、ゲーム機に接続する必要がないゴーグル型の新端末を売り出すと発表している。

 シャープは現在スマホやテレビ、車載向けなどに液晶を供給しているが、今後拡大が予測されるVRにまで供給を広げ、ディスプレー事業を拡大する。