東レは液晶テレビの反射板に使うフィルムの関連技術を巡り、中国の化学メーカー「寧波長陽科技社」に製造販売の差し止めと損害賠償を求め、25日付で中国の裁判所に提訴した。賠償額は1億円と少額だが、日本製品や技術の模倣が氾濫する中国で早めに法的手段をとることで、他の中国メーカーをけん制する狙いもあるとみられる。

 東レが特許の侵害を主張しているのは、液晶テレビの画面を見えやすくするために使うバックライト用のポリエステルフィルムの技術。剛性や表面の形状などの特許を保有しており、寧波はこの技術を使ってフィルムを製造しているという。当初、被害額は6千万円程度だったが、販売の拡大とともに1億円規模に広がってきたとしている。

 東レは2014年にもグループ会社の東レ・ダウコーニングが発光ダイオード(LED)デバイスに使うシリコーン技術を巡り、中国メーカーを提訴している。東レは繊維からフィルム、医薬品まで幅広い製品を手掛け、16年末時点で海外で7380件の特許を保有する。特許は低価格攻勢をかけるアジア勢に対する競争力の源泉だけに、今後も保護を求める姿勢を徹底する考えだ。