液晶パネル大手、友達光電(AUO)は、中部科学工業園区(中科)の第8.5世代工場の第2期拡張を決めた。月産能力をガラス基板投入ベースで2万5,000~3万枚拡大し、2018年下半期の生産開始を見込む。これにより同工場の月産能力は第1期と合わせて10万枚規模に達する見通しで、ハイエンド液晶テレビ向けの大型・高解析度のパネル需要に対応する。業界大手が10.5世代以降の生産を視野に入れる中、同社は規模の競争には追随せず、利益重視の投資でハイエンドパネル市場での優位維持を狙う。16日付電子時報などが報じた。
液晶パネル業界では、鴻海精密工業傘下の堺ディスプレイプロダクト(SDP)が今年3月、中国・広州市で10.5世代工場を着工した他、中国の京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)は深圳市華星光電技術(CSOT)は10.5/11世代工場2基の運営を計画。韓国のLGディスプレイ(LGD)も京畿道坡州で来年下半期の稼働を目指している。
AUOは今年、ガラス基板の利用効率が高く、投資額が少なくて済む「ハーフ10.5世代」工場の検討を行ったが、蔡国新総経理が15日の株主総会で投資を見送ったと表明。同工場は投資額が通常の10.5世代工場の半分ながら、コストは半減とならないネックがある。また、技術が成熟しておらず薄膜の均一化が困難なことも理由に挙げた。
彭双浪(ポール・ポン)同社董事長は、台湾での投資額は2015~18年の4年間で累計1,100億元(約4,000億円)に達するとの見通しを示した。今年は500億元の計画で、15~17年累計では960億元に達する。彭董事長の発言を基に試算すると来年の投資額は140億元となる。これ以外に毎年の研究開発(R&D)費が90億~100億元に上る。
今週、郭台銘(テリー・ゴウ)鴻海董事長が「必要がない限り投資をしたくない」と台湾の投資環境の劣悪さ、特に決定の遅さを批判する発言をして注目を集めた。彭董事長は、パネル業界にとって台湾の投資環境はとてもよく、台湾を生産の中心に据えて経済発展に協力し、株主や社会と成果を共有したいと強調。鴻海との対比を見せた。
新技術への投資について彭董事長は、既に次世代の量子ドット技術で展開を進めており、来年には有機EL(OLED)パネルよりもコントラスト比が優れた応用製品を生産できるとの展望を語った。その上で、OLEDは過大評価されており、大型パネルは現時点で液晶パネルが最も競争力を持つとの見方を示した。
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