アップルと半導体大手クアルコムとの特許訴訟合戦に巻き込まれた鴻海精密工業など台湾の受託生産メーカー4社は19日、アップルのスマートフォンiPhoneに対するクアルコムの特許使用料(ロイヤルティー)は不当に高く、反トラスト法(独占禁止法)に違反しているとして、米国カリフォルニア州南部地区の連邦地方裁判所に提訴した。
アップルとクアルコムの特許紛争が長引けば、今年末にも発売見通しのiPhone8出荷や販売に悪影響を及ぼし、受託メーカーが実害を被る恐れがある。20日付経済日報などが報じた。



提訴した受託4社は、▽鴻海▽仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)▽和碩聯合科技(ペガトロン)▽緯創資通(ウィストロン)──。4社の弁護士は、クアルコムがアップルをターゲットとして、アップルと協力関係にある台湾メーカーを提訴したことから、応訴を決めたと説明した。クアルコムは5月、アップルの指示に従い特許使用料支払いを停止したことを不当として、受託4社を提訴している。

 アップルは、もし応訴が成功すれば、クアルコムは特許使用料の返還と損害賠償の支払いで数十億米ドルを支出しなければならないと指摘した。受託4社の訴訟費用はアップルが負担すると説明した。

 アップルは今年6月、クアルコムの特許使用料をスマホ本体コストに対する一定比率で計算する契約は無効と主張して提訴している。従来の携帯電話は通話機能が最も重要で、標準必須特許(SEP)を保有するクアルコムが高い特許使用料を得ていたものの、昨今のスマホは半導体チップよりディスプレイや筐体などのコストの方が高いため、クアルコムの特許使用料は高過ぎるとの見方だ。

 クアルコムは過去数年、アップルだけでなく、インテル、エヌビディアなどから、中国、台湾、韓国、欧州連合(EU)、米国で独禁法違反で提訴されている。中国の当局は15年、独禁法違反を認定し、クアルコムに対し制裁金9億7,500万米ドルを支払い、中国の携帯電話メーカーへの特許使用料を本体コストの5%から3.5%に引き下げるよう命じた。韓国当局もクアルコムに制裁金8億5,000万米ドルを命じている。

 クアルコムにとって特許使用料は利益の6割を占める主力ビジネスだが、敗訴の可能性が高まっている状況だ。なお、アップル受託メーカーの特許使用料の支払い停止により、クアルコムの4~6月期純利益は前年同期比40%減少した。