LG OLED 2015 Aug
韓国電機大手のLGディスプレーは25日、中国の広東省広州市に新型ディスプレーである有機ELパネルの合弁工場を建設すると発表した。
総額1兆円近い増産投資のうち、中国で約1800億円を投じる計画で、中国初の大型有機ELパネルの工場となる見通し。
「世界の工場」と呼ばれる中国では労働者の賃金上昇が続き、購買力も伸びている。政府の誘致策もあり、外資が最先端製品の工場を建設する動きが広がってきた。


 LGは同日、中国と韓国で9兆6千億ウォン(約9600億円)を投資し、有機ELを増産する計画を発表。このうち1兆8千億ウォンを資本金とし、中国企業と合弁会社をつくることを盛り込んだ。合弁相手は未定だが、LGが7割の株式を握る。テレビや電子看板用の大型パネルを生産する。


 新工場の稼働時期や設備投資の総額は合弁相手が確定した際に公表する。生産能力は「第8世代」と呼ぶ大きさのガラス基板換算で月6万枚程度とみられる。


 増産計画では、ソウル郊外の京畿道・坡州(パジュ)にある大型パネルの生産棟に2兆8千億ウォン、スマートフォン(スマホ)用の中小型パネルの生産棟に5兆ウォンを投資することも決めた。2019年夏までに実行する。


 有機ELは液晶パネルに比べ色が鮮やかで、消費電力を抑えやすい。液晶テレビより割高だが、中国の富裕層でも「高精細で壁掛けができる機種の需要が根強い」(LG関係者)。厚みを増す中国の消費が投資を後押しした。


 韓国勢では、サムスン電子が半導体の西安工場(陝西省)に約1兆円を投資する方針。19年をめどに生産能力を現在の2倍に引き上げる。スマホなどで画像や文書を記憶する大容量の「NAND型」フラッシュメモリーの第2ラインを設ける。


 背景には、中国政府が「中国製造2025」と名付けた産業振興策などでハイテク投資を誘致していることもある。電機以外でも、世界の3割を占める新車市場では電気自動車(EV)を環境規制や減税で優遇し、外資が対応を急いでいる。