旭硝子が2018年7月1日から社名を「AGC」に変更する。世界的に認知されている企業ブランドと社名を統一する狙いだ。1907年の創立以来、社名から初めて「硝子(ガラス)」が外れるわけだが、足元のガラス事業の業績は、好調な化学品事業に比べていまひとつ。株価の重荷にもなっており、市場は動向を注視している。
「『旭硝子』は慣れ親しんだ名前だが、色々なことをやっている会社として理解してもらう方が会社の将来のためによいのでないか」。島村琢哉社長は今月1日の記者会見で、社名変更の狙いを説明した。すでに化学品や電子部材、セラミックなど、ガラス以外にも幅広く事業を展開しているためだ。グローバル展開を加速するためにも、英語名のAGCのほうが効率的とみる。
「『旭硝子』は慣れ親しんだ名前だが、色々なことをやっている会社として理解してもらう方が会社の将来のためによいのでないか」。島村琢哉社長は今月1日の記者会見で、社名変更の狙いを説明した。すでに化学品や電子部材、セラミックなど、ガラス以外にも幅広く事業を展開しているためだ。グローバル展開を加速するためにも、英語名のAGCのほうが効率的とみる。
同時に発表した17年1~6月期の連結決算(国際会計基準)も好調だ。純利益は375億円と前年同期から4割弱増えた。けん引役は化学品事業だ。同事業の営業利益は前年同期比71%増の260億円と過去最高を更新。連結営業利益の過半を稼ぎ出し、文字通り主力事業となっている。
水道管などに使う塩化ビニールや紙パルプの製造などに使うカセイソーダの需要が東南アジアで拡大し、値上げも浸透している。タイの塩化ビニール樹脂会社の買収も利益を押し上げた。化学品の好調を受け、17年12月期通期の営業利益も従来予想を100億円上回る前期比19%増の1150億円になりそうだと上昇修正した。
これと対照的だったのがガラス事業だ。建築用と自動車用に大別されるが、1~6月期の営業利益は前年同期比11%減の140億円だった。建築用は欧州などで好調だが、自動車用で難しい形状のガラス生産が増えて歩留まりが悪化した。天然ガスなどエネルギーコストの上昇も重荷となった。今後は米国での新車販売の伸び悩みも徐々に影響しそうだ。
1~6月期の営業利益に占める比率は化学品が53%、ガラス事業が28%、液晶テレビのガラス基板などの電子事業が18%と、化学品が突出する。ただ宮地伸二取締役最高財務責任者(CFO)は「一つの事業に過度に依存しない構造にしたい」と慎重だ。
同社には苦い記憶がある。液晶テレビ用のガラス基板需要が追い風で、00年代に電子事業が業績をけん引。全体の営業利益の8割を超える稼ぎ頭となった。だがバブルははじけ、11年12月期から4期連続の最終減益となり、一つの事業に依存するリスクを学んだ。現在は収益構造をバランスさせる「ポートフォリオ」経営に注力している。その実現には、採算が悪化したガラス事業のテコ入れが大きな課題だ。
足元の株価も下落基調だ。7月14日に年初来高値(5050円)を付けた後は急速に下げており、今月21日の終値は4180円と高値から17%安い。「化学品は評価できるが、ガラス事業で大幅な伸長が見込めない状況」(国内証券アナリスト)との声が出ている。
予想PER(株価収益率)についても14倍台と、競合他社の日本板硝子の12倍台や、セントラル硝子の10倍台と比べて割高感が漂う。
旭硝子も手をこまぬいているわけでない。ガラス事業では歩留まり改善を急いでいるほか、アンテナを組み込んだ自動車用ガラスなど、高付加価値品の拡販を急ぐ。収益改善の成果を早期に示せるか。社名変更で「ガラス」の名前は外れても、ガラス事業からは当面目が離せない。
水道管などに使う塩化ビニールや紙パルプの製造などに使うカセイソーダの需要が東南アジアで拡大し、値上げも浸透している。タイの塩化ビニール樹脂会社の買収も利益を押し上げた。化学品の好調を受け、17年12月期通期の営業利益も従来予想を100億円上回る前期比19%増の1150億円になりそうだと上昇修正した。
これと対照的だったのがガラス事業だ。建築用と自動車用に大別されるが、1~6月期の営業利益は前年同期比11%減の140億円だった。建築用は欧州などで好調だが、自動車用で難しい形状のガラス生産が増えて歩留まりが悪化した。天然ガスなどエネルギーコストの上昇も重荷となった。今後は米国での新車販売の伸び悩みも徐々に影響しそうだ。
1~6月期の営業利益に占める比率は化学品が53%、ガラス事業が28%、液晶テレビのガラス基板などの電子事業が18%と、化学品が突出する。ただ宮地伸二取締役最高財務責任者(CFO)は「一つの事業に過度に依存しない構造にしたい」と慎重だ。
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同社には苦い記憶がある。液晶テレビ用のガラス基板需要が追い風で、00年代に電子事業が業績をけん引。全体の営業利益の8割を超える稼ぎ頭となった。だがバブルははじけ、11年12月期から4期連続の最終減益となり、一つの事業に依存するリスクを学んだ。現在は収益構造をバランスさせる「ポートフォリオ」経営に注力している。その実現には、採算が悪化したガラス事業のテコ入れが大きな課題だ。
足元の株価も下落基調だ。7月14日に年初来高値(5050円)を付けた後は急速に下げており、今月21日の終値は4180円と高値から17%安い。「化学品は評価できるが、ガラス事業で大幅な伸長が見込めない状況」(国内証券アナリスト)との声が出ている。
予想PER(株価収益率)についても14倍台と、競合他社の日本板硝子の12倍台や、セントラル硝子の10倍台と比べて割高感が漂う。
旭硝子も手をこまぬいているわけでない。ガラス事業では歩留まり改善を急いでいるほか、アンテナを組み込んだ自動車用ガラスなど、高付加価値品の拡販を急ぐ。収益改善の成果を早期に示せるか。社名変更で「ガラス」の名前は外れても、ガラス事業からは当面目が離せない。
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