旭硝子は24日、中国で液晶テレビなどに使うガラス基板の製造窯を増設すると発表した。広東省恵州市に同国で2つ目となる窯を新設する。投資額は約320億円。2018年末にも稼働し中国でのガラス基板の生産能力を年2000万平方メートル程度に倍増する。

中国では当面、テレビ向けを中心に液晶パネルは旺盛な需要が見込めるため、生産量を増やす。  新設する窯では「11世代」と呼ぶサイズが約3メートル四方の世界最大級のガラス基板をつくる。生産能力は年1000万平方メートル程度とみられ、既存の窯とほぼ同じ規模だ。生産したガラス基板は別工場で研磨加工した後に、主に中国の液晶パネル大手、華星光電(CSOT)グループへ供給する。



 液晶用ガラス基板は2010年ごろまで旭硝子の営業利益の大半を稼ぎだしたが、価格下落に伴う採算の悪化で立て直しに追われた。このため旭硝子はアジアにある既存の設備を移管する形で製造窯を中国に増設する。同社全体での生産量は変わらないという。

 薄型テレビやスマートフォン(スマホ)のパネルでは従来の液晶に代わって有機ELの採用が増えている。ただ中国では京東方科技集団(BOE)やCSOTなど液晶パネル大手がパネル大型化への投資拡大を打ち出している。旭硝子も「中国では今後も液晶向けガラス基板の出荷量は増える」としている。