シャープがタイの家電製品工場で、液晶テレビの生産能力を現在の年間50万台から2018年中に100万台へ倍増させる計画であることが7日、分かった。同工場は昨年秋にテレビ生産を再開したばかり。タイなど東南アジアのテレビ市場は、人口増加や地上波放送のデジタル化などで需要が高まっており、シャープは販売を大幅に拡大する構えだ。

 シャープはこれまで韓国メーカーなどに押され、10年ほど前からタイ工場のテレビ生産を縮小。マレーシアの工場に集約し、12年に生産を停止していた。

 しかし16年に台湾・鴻(ホン)海(ハイ)精密工業の傘下に入って以降、主力の液晶関連事業を軸に経営再建を進めており、テレビ販売台数を18年度に全世界で1千万台まで引き上げる目標を掲げている。東南アジアでも巻き返しを図るため、タイでの生産能力を増強する。



 東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国の総人口は6億3千万人超で、日本の約5倍にあたる。また各国は地上波放送のデジタル化を進め、20年までのアナログ放送停止を目指しており、テレビの買い替え需要が高まっている。
シャープはタイ国内でのテレビ販売について、18年3月期の目標を前期から数万台増の30万台としている。19年3月期にはさらに2~3割増やす方針。18年末には超高精細画質「8K」対応のテレビも投入する予定だ。

 タイ工場で生産したテレビはカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、インドにも出荷する。

 シャープは今月、社長の決裁権限を分担する共同最高経営責任者(CEO)体制を敷いたが、東南アジアは戴(たい)正(せい)呉(ご)社長が担当する重点地域に位置づけている。