米州での液晶テレビの商標使用権を巡り、シャープがライセンス供与先の中国電機大手の海信集団(ハイセンス)グループを相手に米連邦裁判所や米国際貿易委員会(ITC)に販売差し止めなどを求めていた訴えを取り下げたことが22日までに分かった。

シャープは商標使用権の買い戻しを求めており、対決姿勢が軟化すれば両社の交渉が前進する可能性がある。 シャープは経営不振を受けたリストラ策の一環として2015年に北米でのテレビ事業からの撤退を決定。16年から5年間の契約でハイセンスに対し米州での「シャープ」「アクオス」といった商標の使用権を供与した。



だが16年夏の鴻海精密工業の傘下入り後にシャープは戦略を転換した。北米へのテレビ事業での再参入を目指し、ハイセンス側にブランドの買い戻しを再三求めたが、ハイセンス側が拒否。17年春以降は通信関連の特許侵害などを理由にシャープが米連邦裁判所への提訴やITCへの調査の申し立てに踏み切るなど争いが激しくなっていた。

 ハイセンスからのブランドの買い戻しが実現すれば、シャープは中国に次ぐ世界2位の北米のテレビ市場への自社の既存ブランドでの再参入が可能となる。一方、ハイセンスは2月末以降に東芝のテレビ事業の買収を完了する予定で、全世界で今後40年間にわたり東芝ブランドを使用する権利を得る。