健康・医療分野をターゲットにしたウエアラブル市場への異業種からの参入が活発化している。コネクテックジャパン(新潟県妙高市)は、衣服や医療機器など向けにセンサーを開発。大日本印刷は皮膚に貼るディスプレーを開発した。

IDCジャパン(東京都千代田区)の試算では2021年のウエアラブルデバイスの世界出荷台数は17年比2倍近い2億2950万台で、市場は拡大傾向にある。 コネクテックジャパンは、衣料や医療機器メーカーなどと共同でセンサーを開発する。同社の技術を用いると半導体チップを低温・低圧力で接合でき、布などさまざまな基板に応用が可能。コンタクトレンズやオムツなどにセンサーを搭載し体調変化を検知するといった用途を想定する。



開発相手は同社へ3割超を出資した三井物産と連携して見つける。コネクテックジャパンの売上高に占める衣服・医療機器の割合は現在5―10%程度にとどまるが今後は引き上げを狙う。

大日本印刷のディスプレーは東京大学と共同開発した。センサーで収集した心電波形を表示する。ディスプレーを手などに貼れば、外出先でも特別な操作をせずに心電波形を確認できる。高齢者や子どもでも体調を管理しやすくなる。

東レは生体センサー機能を持つ繊維「hitoe」(ヒトエ)を医療分野に売り込む。ヒトエを使って取得した患者の心拍数などの情報はスマートフォンなどを経由しクラウドに送信し、健康状態を遠隔でモニタリングする。手術後の経過観察などに活用可能だ。

高齢化社会を迎え、布などに搭載できる半導体やIoT(モノのインターネット)技術などを活用した健康管理への関心は高い。IDCジャパンによると17年のウエアラブルデバイスの世界出荷台数は前年比10・3%増の1億1539万台。17年―21年の年間平均成長率は17・2%で、二ケタ成長が続くと期待されている。