サウジアラビア政府は27日(米国時間)、ソフトバンクグループと組み同国で世界最大級の太陽光発電事業に着手すると発表した。
2030年までに2千億ドル(約21兆円)を投じ、合計2億キロワット分の発電所を建設する。これは同年の世界の太陽光発電能力予測の15%を占める規模となる。
ただ計画する発電規模は足元で動く世界の太陽光発電新設案件の約3倍で、サウジ国内の発電量を上回る。野心的な計画の実現には資金の確保など課題は多い。



 サウジ政府が中心となり投資し、10万人の雇用を生むとしている。ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は27日夜、ニューヨーク市内で「過去に例のない規模の太陽光発電プロジェクトとなる」と述べた。ただ投資総額2千億ドルのうち、ソフトバンク・ビジョン・ファンドからの出資は一部にとどまりそうだ。

 産油国のサウジが太陽光事業に巨額の投資をする背景には、貴重な輸出資源である石油や天然ガスを輸出に回し外貨を稼ぐ狙いがある。ロイター通信によると日量30万~80万バレルが発電で消費されており、国内の消費量を抑えてこれを輸出に回せば年70億~200億ドルの原油収入増加につながるという。

 太陽光発電コストが大幅に下がっていることも追い風だ。サウジで17年秋に入札した建設案件は1キロワット時あたり日本円で2円を下回った。これは日本の相場の8分の1程度だ。国際エネルギー機関(IEA)によると、中東の太陽光発電比率は現在のほぼゼロから、今回の大規模事業が実現すれば大幅に上昇しそうだ。