アップルとアイルランド政府は24日までに、欧州委員会の指示に従ってアイルランドがアップルから税金の追加徴収を始めることで合意した。アイルランドの発表として、欧米の主要メディアが伝えた。欧州委が求めていた追徴課税額は最大130億ユーロ(約1兆7千億円)だが、実際にいくら支払うかは明らかにしていない。  

アイルランドがアップルに対して認めていた「税制優遇」によって徴収し損ねていた税金を取り戻すため、追加で納税を求める。アップルへの優遇を巡っては欧州委が2016年に「欧州連合(EU)法に違反する」と指摘。アイルランドに対し、最大130億ユーロをアップルから徴収するように求めてきた。



 報道によれば、アップルは5~9月に追徴分の税金を支払う。アイルランドのパスカル・ドナフー財務相は「政府は基本的には欧州委の判断に同意していない。しかしEUの一員として法的義務を守る」との声明を公表した。

 欧州各国は税優遇などを前面に、米IT(情報技術)大手の誘致につなげてきた。だが欧州委はこうした優遇策による税金の「未払い」を問題視し、IT各社への課税強化の動きを強めている。

 17年10月には、ルクセンブルク政府が米アマゾン・ドット・コムに最大2億5千万ユーロの「違法」な税優遇を与えていたと認定。追徴課税で取り戻すよう同国に指示した。さらに今年3月には、米IT大手を念頭に置いた「デジタル税」の導入も加盟国に提案した。米IT大手は複雑な租税回避策の先駆けとしても知られ、国際的にも批判が高まっていた。

 一方、アップルは昨年7月に「(欧州委の追徴指示に関して)アイルランドとの協力を進めるが、欧州司法裁判所がすべての証拠をレビューした際には欧州委の決定を覆すと確信している」とのコメントを公表した。現在もこうした主張は崩していないとみられる。