液晶パネル最大手、友達光電(AUO)は26日、第1四半期純利益が43億900万台湾元(約160億円)で前期比2.9%増加したと発表した。前日に韓国最大手、LGディスプレイ(LGD)が、同期に6年ぶりに四半期ベースで営業損益の赤字を計上したことから、AUOにも注目が集まっていた。業界の厳しい競争の中で「選択と集中」に注力してきた同社の判断に、改めて脚光が当たる結果となった。27日付経済日報などが報じた。

 AUOの第1四半期連結売上高は744億4,500万元で前期比7.7%減。粗利益率は10.9%で前期から2.95ポイント下落し、過去7四半期で最低となった。営業利益率は4%で前期比3.07ポイント下落した。パネル価格下落によって売上高が減少した中で利益を拡大させたことは、同社の堅実性を物語る。



 LGDの第1四半期売上高は台湾元換算で1,678億6,600万元とAUOの2.25倍。にもかかわらず同社は営業赤字980億ウォン(約100億円)を計上、純損失は490億ウォンとなった。

 AUOの第1四半期の売上高費用比率は約7%で、減価償却費が約85億元だった。一方、LGDは売上高費用比率が11%以上、減価償却率が268億8,000万元。両社の第1四半期業績には、投資を適切な対象に絞り、収益率の最大化を図ってきたAUOと、積極的な投資を展開してきたLGDの経営姿勢の差が数字に表れたといえる。

 LGDはテレビ、モニター、ノートパソコン、タブレット端末、携帯電話と幅広い製品向けにパネルを生産しており、技術もアモルファスシリコン(a-Si)、LTPS(低温ポリシリコン)、酸化物半導体TFT(Oxide TFT)、アクティブマトリックス式有機EL(AMOLED)と多岐にわたっている。特にAMOLEDは大型、小型パネル双方で投資を行い、対象製品も多い。

 アップルの主要サプライヤーであることも、LGDにとってコスト増大要因の側面がある。アップルがディスプレイに新技術を求め続けるため、LGDは毎年1,000億元以上の設備投資を強いられてきた。アップルが数年もたたない短い期間で採用技術を変更するため、LGDは研究開発(R&D)費用がかさみ、人員供給が逼迫(ひっぱく)するなど重い負担となっている。

 一方AUOは、彭双浪(ポール・ポン)董事長が第1四半期の減収増益について、「製品の差別化と技術の高規格化の効果であり、競争力が高まった」と自賛した。具体的には、65・75インチ以上の大型テレビ用パネルの出荷増、ミドル~ハイエンドに特化した中国・昆山LTPS工場の製品出荷が貢献したという。テレビパネルは同期、価格が大幅に下落したものの、高付加価値製品の出荷比率を高めたことが利益確保につながった。

 ただ、第1四半期は乗り切ったものの、外資系証券会社からは、液晶パネル業界は第2四半期以降、供給過剰問題がさらに厳しさを増すという指摘が出ている。クレディ・スイスによると、鴻海精密工業グループが抱えるテレビ用パネルの在庫は300万枚に達しており、こうした中でシャープが最近、堺ディスプレイプロダクト(SDP)の稼働率維持を決めたためパネル価格の動向に悪影響を及ぼす恐れがあるという。

 AUOも第2四半期には赤字に転落し、通年でも赤字を計上、来年には1株当たり純損失が2元以上に達するとの厳しい予測が出ている。