日本発の次世代放送技術「8Kスーパーハイビジョン技術」が、医療現場に革命を起こしそうだ。腹腔(ふくくう)鏡手術など内視鏡を使った手術への応用が始まった。超高精細な画像を見ながら内視鏡手術をすることで、安全性や完全に治る割合(根治性)が向上すると期待される。
 8K技術は従来のハイビジョンの16倍にあたる約3300万画素の超高精細画像で、実物に限りなく近い色を表現でき、速い動きもスムーズにとらえることができるなどの利点がある。2Kハイビジョンを人の視力に換算すると1.07、4Kは4.27に匹敵するという。


外科手術用の8K内視鏡を世界で初めて開発したのはベンチャー企業のカイロス(東京・千代田)だ。02年、放送用の8Kカメラは80キログラムもあったが、14年には2.2キログラムまで軽くなった。カイロスはこのカメラを使った外科手術用の内視鏡を開発した。
 国立がん研究センターとNHKエンジニアリングシステム、オリンパスなどのグループも、8K内視鏡の開発を進める。3月14日、国立がん研究センター中央病院で40代の大腸がんの患者に対し、開発中の8K内視鏡を使った手術を実施した。

ナースのためのやさしくわかる内視鏡検査・治療・ケア オールカラー [ 工藤進英 ]
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