台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業系の液晶パネル大手、群創光電(イノラックス)は20日、王志超董事長(56)が退任したと発表した。王氏は「鴻海の求めに応じて(米国や中国など)どこへでも行く」と発言。鴻海は米ウィスコンシン州で大型パネル工場の建設計画を進行中で、王氏を参画させようとする郭台銘董事長の意向が働いたとの見方が出ている。

 20日に開いた定時株主総会で退任が承認された。21日付で群創の顧問に就任する。後任の董事長には鴻海幹部などの経歴を持つ洪進揚氏(45)が就任する。



 鴻海はウィスコンシン州で総額100億ドル(1兆1000億円)規模の液晶パネル投資を予定し、4月末に本格着工した。6月末に開く式典にはトランプ米大統領を招待しているとされる。ただ現地にはサプライチェーン(供給網)が育っておらず、事業の難易度は高い。豊富な経験を持つ王氏を対策に充てるとみられる。

 液晶パネルは昨年末から中国勢の増産により単価が下落し、収益性が低下している。記者会見で王氏は「大陸(中国)勢との競争激化により、今年後半のパネル景気は厳しい」と発言。群創は大型パネルでの投資競争を避け、中小型などニッチ分野を強化する方針を強調した。

鴻海・郭台銘シャープ改革の真実 [ 毎日新聞社 ]
鴻海・郭台銘シャープ改革の真実 [ 毎日新聞社 ]