タイの複合企業、サイアム・セメント・グループ(SCG)と台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が合弁会社を設立し、中国南部で物流事業を展開する。新会社はサイアム・セメントの物流事業のノウハウと鴻海の巨大なネットワークを生かし、中国南部で拡大する電子商取引分野の物流を担う。  

サイアム・セメントは声明で、合弁会社の資本金は約3億3300万バーツ(約11億円)で、51%を鴻海、49%をサイアム・セメントが出資すると明らかにした。新会社の本社は広西チワン族自治区に置き、今年第3四半期に業務を開始する。中国南部と東南アジア諸国連合(ASEAN)各国間の電子部品や高級食材の輸送を担い、電子商取引にかかわる事業に特に力を入れる。



 鴻海は2002年に中国南部の深圳に自社のサプライチェーンを担う子会社を設立。物流ネットワークはすでに400以上の都市に及び、世界中に60の大型倉庫を保有する。

 16年9月にはシャープとの合弁会社を設立、同年10月には北東アジア市場での事業拡大のため韓国SKホールディングスとも合弁会社を作った。今回サイアム・セメントと提携することで、ASEANでの事業強化を図る。

 サイアム・セメントのルーンロート・ランシヨパット社長兼最高経営責任者(CEO)は、今回の合弁がASEAN以外の地域、特に中国とインドに進出する長期事業計画の一環だとし「中国とインドの両国は我々が力を入れたい巨大な市場だ」と語った。

 同氏は一方で、サイアム・セメントは両国での事業拡大を急がないとも付け加えた。追加投資を実施する前には市場を徹底的に調べるために一定の時間が必要だとの考えも示した。